大阪杯2023

[GⅠ大阪杯=2023年4月2日(日曜)阪神競馬場、芝内2000メートル]

 GⅠに昇格した2017年以降の大阪杯(4月2日=阪神芝内2000メートル)では、牝馬の活躍が目立っている。20年ラッキーライラック、21年レイパパレという2頭を勝ち馬を筆頭に、9頭出走して〈2・2・0・5〉と連対率は40%超え。ならば、今年も素直に牝馬狙いでOKだ。自然とGⅠ馬2頭に目がいってしまう中でも、近走の災難続きからフラストレーションがたまったあの馬が、大逆転Vを狙っている。

 すっかり〝悲劇のヒロイン〟になった印象があるマリアエレーナ(5・吉田)。昨秋から続くここ一番での不運には同情を禁じ得ない。2角で外から寄られてラチにぶつかりそうになり、頭を上げるほどブレーキをかけた昨年の天皇賞・秋(7着)もかわいそうだったが、前走の金鯱賞も〝災難〟だった。直線内で前が壁になり、ほとんど追えないまま、8着のフィニッシュとなってしまったからだ。

「逃げ馬の後ろが取れなくてスローペースで最後まで窮屈に。この馬の能力を出してあげることができずに申し訳ございませんでした」と頭を下げた鞍上の松山には、直線半ばでなんとか進路を見つけようと外に出した際、後ろのワンダフルタウンを引っ掛けたような形となったことで、過怠金5万円の制裁が下された。まさに踏んだり蹴ったりのレースだった。

「前走は参考外といえるレースでしたね。走り切ってない分、疲れが残らなかったことはプラスと捉えたいです。すぐに乗り出しを開始できましたたし、元気いっぱいですよ」とは高島助手。確かに中2週で迎える頂上決戦において、前哨戦でメイチに走ることがマイナスに働くことは少なくない。調教代わりのレースが結果吉と出る可能性もある。

 舞台は引き続きベストの芝2000メートル。GⅢマーメイドS2着の走りを思えば、右回りの阪神に替わるのも悪くはないだろう。「左右問わずに2000メートルが最もいいですね。メンバー強化されるでしょうが、男馬相手にも力はヒケを取らないし、スムーズな競馬さえできれば、ここでも見劣らないモノは持っていると思う」(同助手)。

 トラウマになってもおかしくないほどのアクシデントだった先の天皇賞・秋で天下のイクイノックスから0秒7差。直線〝持ったまま〟でゴールした金鯱賞でも勝ち馬プログノーシスから0秒7差。「スムーズにさえ走れれば」という陣営の言葉の先に栄光のラストシーンが待っている。

 同じ牝馬でもクラシック2冠のスターズオンアース、昨年のエリザベス女王杯勝ち馬ジェラルディーナより人気は下だろうが…。力を出し切れずに蓄積した〝マグマ〟を噴出させれば、どんでん返しの大駆けVまで届きそうだ。

悲劇のヒロインとは呼ばせない!マリアエレーナが大反撃へ

著者:東スポ競馬編集部