覚醒したジェラルディーナが余裕満々に併入フィニッシュ(右)

大阪杯2023

[GⅠ大阪杯=2023年4月2日(日曜)4歳上、阪神競馬場・芝内2000メートル]

<栗東>デビューから注目を集めた名牝ジェンティルドンナの子ジェラルディーナは、必ずしも期待通りのエリートコースを歩んできたわけではない。初勝利までに3戦を要し、1勝馬の身で挑んだ阪神JFでは7着に敗戦。世代のトップに立ったソダシとの差をまざまざと見せつけられる結果だった。

 3歳となって条件クラスを3連勝したころには良血開花ともてはやされたが、そこからの重賞挑戦では善戦こそするものの、なかなか勝ち切れない歯がゆい日々が続いた。当時を振り返って斉藤崇調教師は「少しずつは成長していても、まだレースへいっての折り合いなど課題は多く残っていました。でも、そのころに福永騎手が我慢強く競馬を教えるように騎乗してくれたことが、今につながっているんだと思います」と苦しい時を名手に託した成果が、本当の意味でのジェラルディーナの覚醒につながったことを明かす。

 その言葉を証明するように昨秋はオールカマーで重賞初制覇を果たすと、続くGⅠエリザベス女王杯で牝馬の頂点に。勢いを駆って挑んだ暮れのドリームレース・有馬記念でも並み居る強豪を相手に3着と善戦し、その充実ぶりが本物であることを世に知らしめた。

「昨年の秋は心身が成長したという印象で、折り合い面の心配がなくなったことで調整もやりやすくなっていました。有馬記念で牡馬の一線級とあれだけの競馬ができたことで、さらに今年の活躍が楽しみになりました」と斉藤崇調教師は、馬体を増やしながらの大舞台での活躍にさらに自信を深めた様子。

 さらなる飛躍を期待する陣営が23年の始動戦として選択したのが、大阪杯への直行プラン。昨年は賞金除外となって翌週の阪神牝馬Sに回らざるを得なかったが、今年は堂々と胸を張っての出走がかなう。

 注目の最終追いは栗東ウッドでの併せ馬で行われた。団野(レースは岩田望)が騎乗し、道中は先行する形。直線で馬体を併せてからの手応えも楽なままで余裕満々に併入でゴールした(6ハロン84・1―53・2―11・5秒)。

「これだけ間隔が空くのは久しぶりだったので、少し馬を動かしておきたいという調整になりました。先週よりもしっかりと動けていて、いい状態でレースへ臨めそうです」と斉藤崇調教師。苦節を乗り越えた5歳牝馬が堂々とGⅠ舞台へと向かう。

著者:東スポ競馬編集部