オルフェーヴル(上)とドリームジャーニーの黄金配合馬は父になっても大活躍

【血統値】6競走に日本馬が大挙26頭(ドバイターフのドゥデュースは出走取消)が出走したドバイワールドカップデー(25日、メイダン競馬場)。持ったままレコードタイムで逃げ切ったイクイノックス(牡4・木村)のGⅠドバイシーマクラシック(芝2410メートル)は異次元の強さだったが、それよりも驚かされたのはGⅠドバイワールドカップ(ダート2000メートル)を最後方から豪快に差し切ったウシュバテソーロ(牡6・高木)だ。

 オールウエザー時代の2011年にヴィクトワールピサが優勝しているとはいえ、ダート施行では第1回(1996年)のライブリマウント=6着以来、外国馬の厚い壁にはね返され続けてきた。

 頂点に立ったウシュバテソーロだが、決してデビュー時からバリバリのダートホースではなかった。転機は5歳の春に訪れる。22戦3勝と芝でやや頭打ちとなった状況で、昨年4月の横浜Sからダート路線に矛先を向けた。不良馬場のラジオ日本賞こそ3着に取りこぼしたものの、暮れの東京大賞典、年明け初戦の川崎記念と交流GⅠを堂々連勝。目下の勢いは本物で、初めての海外遠征でドバイワールドカップまで制してしまった。1年前、ダート界ナンバーワンにまで上り詰めるとは誰が想像しただろうか。

 今回の華麗なる転身と重なるのが、同じく芝からダート路線に転向したオルフェーヴル産駒のマルシュロレーヌだ。米GⅠ・BCディスタフを制したように、いわゆる〝砂〟ではなく〝土〟のダートGⅠを勝つには芝コースでも通用するだけのスピードが不可欠ということかもしれない。今後は仏GⅠ凱旋門賞に向かうプランもあるというが、2年連続2着と涙をのんだ父オルフェーヴルの無念を晴らせるだろうか。

 その一方で、オルフェーヴルの全兄にあたるドリームジャーニーの産駒も最近、存在感を見せている。3月11日のGⅢ中山牝馬Sでスルーセブンシーズが重賞初制覇を飾ると、同25日の中京2勝クラス・熊野特別でダディーズトリップ(牡7・千田)が10番人気で2着。翌26日は中山の3勝クラス・春興Sでトオヤリトセイト(牡7・松下)が12番人気で3着に食い込むと、阪神メインのリステッド・六甲Sではザイツィンガー(牡7・牧田)が13番人気で3着に激走した。とどめは中京のGⅠ高松宮記念で13番人気のトゥラヴェスーラ(牡8・高橋康)が3着と前評判を覆した。この日に出走した4頭がいずれも2桁人気ながら馬券圏内を確保。ドリームジャーニー産駒から馬券を買っていたら一獲千金も夢ではなかっただろう。

 ドリームジャーニー自身はステイゴールドの2年目の産駒。初年度産駒にはメジロアレグロがいたが、不出走に終わり、実質的にはドリームジャーニーがステイゴールド×メジロマックイーンの最初の配合馬ということになる。

 2歳時に朝日杯FSでGⅠ初制覇を飾ったドリームジャーニーは、5歳時に宝塚記念と有馬記念を制し春秋グランプリ制覇を達成。その全弟オルフェーヴルは11年の3冠に加え、有馬記念2回、宝塚記念とGⅠで計6勝を挙げた。さらに皐月賞、菊花賞、有馬記念などGⅠ6勝のゴールドシップが出たことで、ステイゴールド×メジロマックイーンの配合は〝黄金配合〟と呼ばれるようになる。乗馬になっていたメジロマックイーン産駒の牝馬が繁殖として転用される事態まで起きたことがフィーバーぶりを象徴している。

 引退後は12年から社台スタリオンステーションで種牡馬入りしたドリームジャーニー。初年度は95頭に種付けしたものの、36頭の産駒しか誕生しなかった。受精率に問題があるというよりも、小柄な馬体(最低は410キロ)が災いして、種付けがうまく行えなかったようだ。骨折の影響もあり、ヴェルトライゼンデ(牡6・池江)が生まれた17年は3頭の産駒しか誕生していない。種牡馬登録こそ抹消していないものの、19年を最後に種付けをしておらず、現3歳世代(4頭)がラストクロップとなることが濃厚だ。

 今週のGⅠ大阪杯(4月2日=阪神芝内2000メートル)に出走するヴェルトライゼンデは屈腱炎から復帰して重賞2勝を挙げた。ドリームジャーニーの後継種牡馬となるためには、GⅠタイトルは是が非でも手に入れたいところだ。

著者:東スポ競馬編集部