ダノンタッチダウン(上)とシングザットソング

NHKマイルカップ2023

[GⅠNHKマイルカップ=2023年5月7日(日曜)3歳、東京競馬場・芝1600メートル]

 1996年に春の3歳マイル王決定戦としてリニューアル。マイル路線を歩んできた馬、桜花賞&皐月賞から転戦してくる馬らが入り交じり、キャリアが少なく戦力比較しにくいクラシックとはまた違った馬券的な難解さがある。過去10年でも3連単10万円オーバーが7回、うち2回は100万円超えという荒れ方にそれが如実に表れていよう。

 今年の主役候補筆頭は前哨戦のGⅡニュージーランドTを制した勢いで臨むのがエエヤン(牡・伊藤大)。10→8ハロンの新馬、未勝利では勝ち切れなかったが、マイルに転戦して怒とうの3連勝を決めた。その3連勝はいずれも中山でのものだけに東京替わりがカギになるが、力をつけた今なら対応は可能だろう。今回は乗り替わりとなるが、初勝利に導いた戸崎圭ならば不安はない。

 同レースで本番への権利を手にした2着ウンブライル(牝・木村)、3着シャンパンカラー(牡・田中剛)はともに東京での勝ち鞍がある点はアドバンテージ。コース替わりで逆転を狙いたい。一方、昨年のGⅠ朝日杯FS勝ち馬ドルチェモア(牡・須貝)は今季初戦の同レースでまさかの7着敗戦。好発から逃げる形となり、息の入らない流れになったことが響いたか。それでも着差はわずか0秒6。ひと叩きした本番では唯一のGⅠ馬としての意地を見せたいところだ。なお、同馬も三浦へ乗り替わる予定。

 オオバンブルマイ(牡・吉村)は前走のGⅢアーリントンCで重賞2勝目を手にした。朝日杯FSでは出遅れも響いて前出ドルチェモアの後塵を拝し7着に敗れたが、前走で改めて世代上位の力を示した。昨年のダノンスコーピオンに続くアーリントンC優勝からの同レース制覇なるか。

 ほかにもマイルに戻って巻き返しを期すGⅡデイリー杯2歳S覇者オールパルフェ(牡・和田雄)、ジュニアCを圧逃したクルセイロドスル(牡・高橋忠)、ハイレベルなクイーンC小差3着が光るモリアーナ(牝・武藤)、レーンを配したカルロヴェローチェ(牡・須貝)らがマイル王を狙う。

 また、クラシック路線から転戦してくるダノンタッチダウン(牡・安田隆)、シングザットソング(牝・高野)も怖い存在だ。GⅠ皐月賞で最下位に敗れたとはいえ、前者はデイリー杯2歳S→朝日杯FSと連続2着でマイル適性は非凡。後者も桜花賞(7着)から2冠目のGⅠオークスへは進まずマイルのここを選択した。メンバー唯一となる1分32秒台の持ち時計は武器となりそうだ。前走着順からも両馬に妙味がありそうなだけに必ず押さえておきたい。

著者:東スポ競馬編集部