笑顔で引き揚げるシャンパンカラーと内田博

NHKマイルカップ2023

[GⅠNHKマイルカップ=2023年5月7日(日曜)3歳、東京競馬場・芝1600メートル]

 7日、東京競馬場で行われたNHKマイルC(芝1600メートル)は単勝9番人気のシャンパンカラー(牡3・田中剛)が差し切り勝ちを収めた。勝ち時計1分33秒8(稍重)。内田博、田中剛調教師ともに久々のGⅠタイトルとなったが、特に大ベテランの鞍上にとってはJRA・初GⅠのピンクカメオ(2007年NHKマイルC)を思い出させるような差し切りV。「馬」はもちろん「人」も存在感を示した一戦となった。

「いえ〜い!」。検量室前には内田博の喜びの声が響いた。後方3番手から4角までに徐々に進出し、直線は抜群の伸び。最後はウンブライルの猛追をアタマ差だけ振り切った。鞍上は「周りが速く、行きたい馬もいたので合わせる必要はないと思ってあの位置から。いい形でエンジンをふかしつつ4角を回って、直線の伸びは思ったより良かった。内の馬はかわせるなと思っていて、あとは外の馬がどれくらい追い上げてくるかだった」と白熱のレースを振り返った。

 内田博にとって、NHKマイルCは07年ピンクカメオで初めてJRAのGⅠを制した思い出のレース。「JRAに移籍したいという気持ちが大きく芽生えるレースだったね。地方である程度やりつくしたかなという気持ちもあった。だったら新しい舞台に移って自分がJRAでどれだけ活躍できるか、(武)豊さんとかの牙城を1回でもいいから崩したい気持ちもあった」と当時を振り返った。

 その後はゴールドシップともコンビを組んだ。「自分のかけがえのない馬との出会い。それも、いまだに人気があるというのはありがたいよね。そして今回、またシャンパンカラーに出会えた。だから、騎手ってやめられないよなあ」。1989年に大井所属の騎手としてデビューし、今年で35年目。52歳となった今も健在ぶりを見せつけた。

 もちろん混戦に断を下した要因は鞍上の腕だけではなく馬の素質あってこそ。「前走の前の調教で初めて乗って、〝久々にこういう馬に乗ったな〟って。本当に3歳か!?と思うくらいバネがあった」と数々の名馬の背中を知る名手も目を丸くした。「1度、2度、3度…とシャンパンカラーに称号を取ってもらいたいと思います」。今後は古馬との戦いも視野に入ってくるが、円熟味を増した大ベテランと無限の可能性を秘めたフレッシュな若駒のコンビが今後も大舞台で大暴れしてくれそうだ。

著者:東スポ競馬編集部