桜花賞馬リバティアイランド(右)に死角らしい死角はない

オークス2023

[GⅠオークス=2023年5月21日(日曜)3歳牝、東京競馬場・芝2400メートル]

 牝馬クラシック2冠目となるオークスの勝ち馬からはアーモンドアイ、ジェンティルドンナ、ブエナビスタ、ラヴズオンリーユー、エアグルーヴといった多くの女傑が誕生している。1週後のダービーと同じ〝チャンピオンコース〟での施行となるだけに、第84回を迎える今年の樫の女王決定戦も、今後の競馬界を占う観点からも注目したい。

 ヒロイン筆頭格は文句なしにリバティアイランド(中内田)だ。今年初戦の桜花賞を制し、昨年の阪神JFに続く2つ目のGⅠタイトルを手にした。その桜花賞はスタートひと息で道中は後方を追走。4コーナー(16番手)の時点では絶体絶命と思われたが、次位を0秒7も上回る最速32秒9の末脚で大外一気を決めた。もともと新馬戦ではJRA史上歴代最速タイとなる31秒4の数字を叩き出した瞬発力に迫力も備わってきた印象。絶対能力は3歳牝馬の中では抜けており、2400メートルの距離さえこなせればGⅠ3連勝が見えてくる。

 過去10年の勝ち馬のうち7頭は前走・桜花賞組。同2着のコナコースト(清水久)は〝1勝馬〟とはいえ、新馬V後の3戦すべてで2着を確保。好位から自在な立ち回りができる高いレースセンスは対リバティアイランドでも侮れない武器となる。主戦を務めてきた鮫島駿が今回降板し、レーンを起用した采配も勝負モードの証明となろう。一方のペリファーニア(鹿戸)は収得賞金400万円の〝リアル〟な1勝馬。もし、当レースで3着以下ならば次走は1勝クラスから再出発となるが…。チューリップ賞→桜花賞を3着し、優先出走権を連続でゲット。キャリア3戦で大舞台へとたどり着いた裏には高い潜在能力が存在する。半兄エフフォーリアはダービーで2着と涙をのんだが、同じ東京芝2400メートルの大一番で妹は初タイトル奪取なるか?

 桜花賞組はまだまだ強力。4着ハーパー(友道)の強みはGⅢクイーンC(1着)ですでに東京コースで結果を出している点だ。マイルまでしか実績がない組が大半を占める中で、阪神の新馬戦で2000メートルを経験(2着)していることも心強い。桜花賞に続いて手綱を取るルメールにとっては昨年に続く連覇、そして現役単独最多となるオークス4勝目がかかる。他方、シンリョクカ(竹内)は桜花賞の2週前登録段階で出走馬決定順が補欠1番手の19位。難しい調整が強いられた中での6着善戦は高い能力の証明となる。新馬戦を3馬身差で圧勝した東京コースに戻り、今回は除外の心配皆無とあれば阪神JF(2着)のリベンジもあり得るか。

 桜花賞以外のトライアルは2レース。スイートピーSを勝ったウヴァロヴァイトは回避→放牧を選択したためフローラS1、2着馬が優先出走権を得ての出走となる。ゴールデンハインド(武市)は善戦の多い決め手不足のタイプに思われたが、逃げの手に打って出たことで欠点を相殺、能力をフルに発揮し見事にGⅡを制覇した。桜花賞組は末脚自慢が多いだけに、展開面からも怖い存在となろう。ソーダズリング(音無)は未勝利勝ちから一気の相手強化に対応して2着を確保。兄姉にはソーグリッタリング、マジックキャッスル、ソーヴァリアントと活躍馬が多数と奥のある血統背景からも、さらに相手が揃うここでも侮れない存在となる。

著者:東スポ競馬編集部