持ったままで10.8秒の快時計をマークしたリバティアイランド

オークス2023

[GⅠオークス=2023年5月21日(日曜)3歳牝、東京競馬場・芝2400メートル]

 牝馬クラシック第2弾・オークス(21日=東京芝2400メートル)の最終追い切りが17日朝、東西トレセンでスタート。注目の桜花賞馬リバティアイランドは栗東ウッドで、ラスト1ハロン10・8秒を刻む圧巻の動きを披露した。史上17頭目の牝馬クラシック2冠馬誕生はもう目前だ――。

 阪神JF、桜花賞とGⅠを連勝し、名実ともに世代牝馬のトップの座に君臨する女王として、いよいよクラシック2冠目へと挑む。

 ただし、オークス制覇が容易なものではなく、その前に立ちはだかる壁が存在することも事実。まず指摘されるのが二四の距離。多くの桜花賞組が同様に直面する課題とはいえ、リバティアイランドはここまで一貫してマイルの距離を使われてきた。そのマイルで行われた桜花賞で2着コナコーストにつけた着差はわずか0秒2。スローペースで前有利の展開となれば、たとえ上がり最速をマークしようとも差し届かない可能性があり、逆に予測以上のハイペースで流れた場合も、追走に脚を使ってしまうことでこれまでのような末脚を使えないリスクも生じる。ひとつのミスも許されない、未知の距離への挑戦は周囲が思う以上に簡単ではない。

 そんなリスクも見越したかのように、この中間は細心の注意を払った調整が行われてきた。桜花賞後は放牧に出され、激戦の疲れが残らないようにケアに努められ、トレセンに帰厩後はテンションを上げすぎないように穏やかに過ごすことに主眼を置いてきた。

 そんな中で行われた最終追いは主戦・川田が騎乗。ウッドでの3頭併せはサルファーコスモス(古馬3勝クラス)、ベルシャンブル(3歳1勝クラス)の2頭を前に置く形でスタート。ムキになって前を追いかけることもなく、道中は馬の気持ちに任せての追走。直線を向いてもがっしりと手綱を押さえたままで内に進路を取り、ラスト1ハロンを過ぎたあたりで瞬時に加速すると2頭を抜き去ってゴール。ラストは持ったままで驚愕の10・8秒(6ハロン83・2秒)をマーク、あたかも今回のオークスでやりたいことを示すような追い切りでその予行演習を無事に完遂した。

「気持ちよく走って、ストレッチをするように体を動かす追い切り。とてもいい雰囲気で走れていました。前に馬を置く形でその分少し力みは見られましたが、その中でも我慢はできていてレースに向かう準備という意味でもいい追い切りができたと思います」と川田はオークス仕様へと仕上がったパートナーに対し、満足げな表情で締めくくった。

著者:東スポ競馬編集部