アパパネ(手前)とサンテミリオンの同着決着となった2010年のオークス

オークス2023

[GⅠオークス=2023年5月21日(日曜)3歳牝、東京競馬場・芝2400メートル]

 昨年までで83回、行われているオークス。その勝ち馬は計84頭いる。2010年、1番人気に推されたのは桜花賞馬アパパネ。美浦の国枝栄調教師が自信を持って送り込んだ。

 一方、5番人気で挑んだのがサンテミリオンだった。同じく美浦に厩舎を構える古賀慎明調教師が送り込んだこの馬は、前走のGⅡフローラSを勝利。勇躍GⅠの大舞台に駒を進めた。

「道中、目の前の位置取りだったので、見ていましたよ」

 アパパネの国枝師は、レース中のサンテミリオンについて、言った。一方、古賀慎師はアパパネについて次のように語った。

「すぐ後ろで折り合われていたし、強い相手なのは分かっていたので、嫌な感じでした」

 そんな2頭が直線で抜け出し、最後は馬体をピタリと並べてゴール。国枝師は続ける。

「勝ったと思ったらノメって、差し返されたので、ゴールの瞬間は『ヤバい』と思いました」

 対する古賀慎師はこう口にする。

「アパパネが出た時には負けたと思ったけど、そこから差し返すそぶりを見せたので、ゴールの瞬間は逆に勝ったと思いました」

 13分とも言われる写真判定の結果は同着。

「緊張感が限界を超すほど長かったけど、2頭とも優勝という結果は良かったと思いました」

 古賀慎師は安堵の笑みを見せ、そう言った。また、国枝師は後に、次のように語った。

「アパパネは秋華賞も勝って牝馬3冠になったのだから、このオークスの同着はあまりにも大きかったです」

 JRA史上初となるGⅠ競走での同着劇。2頭の勝ち馬が生まれてから13年が過ぎたが、果たして、今年はどんな樫の女王決定戦になるのか。好勝負が繰り広げられることを大いに期待したい。(平松さとし)

国枝栄調教師(左)と古賀慎明調教師(平松さとし氏提供)

著者:東スポ競馬編集部