紫苑ステークス2023
[GⅡ紫苑ステークス=2023年9月9日(土曜)3歳牝、中山・芝内2000メートル、秋華賞トライアル]
3日、金沢競馬場で行われた3歳重賞・サラブレッド大賞典(2000メートル)は、2番人気のダイヤモンドライン(牝・佐藤茂)が向正面で先頭に立つと、1番人気のノブノビスケッツ(牡・加藤和)に4馬身の差をつけて圧勝。キャリア15戦目にして重賞初制覇を飾った。
ダイヤモンドラインは6月の石川ダービーを含め、ここまで重賞2着が4回もあったが、そのうち3戦はショウガタップリ(牝・高橋俊)に敗れたもの。〝目の上のたんこぶ〟が不在のここは、是が非でも勝っておきたいレースだった。
ダイヤモンドラインは父レインボーライン、母ラベンダーミント、その父ブライアンズタイムという血統。前日の2日に行われたGⅢ札幌2歳S(札幌芝1800メートル)はデクラレーションオブウォー産駒のセットアップ(牡・鹿戸)が4馬身差で逃げ切り勝ちを飾ったが、同馬の曽祖母ストームザミントは本馬の祖母にあたる。つまり、同牝系の馬が連日の重賞制覇を成し遂げたことになる。
ストームザミントの孫には他にもJpnⅢエーデルワイス賞の勝ち馬オノユウ、昨年のJpnⅢ・JBC2歳優駿を制したゴライコウ、大阪城S&すみれSを勝ち、1年間のみ種牡馬となったスピリッツミノルがおり、ひ孫にはJpnⅠ全日本2歳優駿で2着に入ったシゲルコングが出ている。
一方、父系に目を向けるとダイヤモンドラインの父レインボーラインはステイゴールドの産駒。18年の天皇賞・春を制し、引退後は優駿スタリオンステーションで種牡馬入りを果たした。初年度の19年は44頭、翌年も42頭とまずまずの牝馬を集めたが、3年目は28頭に減少。昨年は12頭に種付けしたが、9月には種牡馬を引退した。その後は乗馬となり、今年は馬術会デビューを果たしている。
レインボーライン産駒といえば、4月の留守杯日高賞(3歳、牝馬限定、水沢1600メートル)で産駒初の重賞勝ちを収めたワイズゴールド(市村誠)が、9日(土曜)の秋華賞トライアル・GⅡ紫苑S(中山芝内2000メートル)に挑戦してくる。半兄には園田ジュニアC、兵庫若駒賞を含め、2歳時に園田で無傷の5連勝を飾ったガリバーストーム(牡4・尾林幸)が出ており、地方所属とはいえ侮れないポテンシャルを秘めている。
今年の3歳ダート戦では北海道サマーセール出身馬の活躍が話題となったが、ワイズゴールドも同セールの出身馬で、落札価格はなんと100万円という低価格。100万円の馬が中央の良血馬たちを蹴散らすようなことがあれば、ロマンという意味では痛快そのものだろう。ステイゴールド直子だけに種牡馬レインボーラインも芝向きなのは間違いない。現在GⅠ4連勝中のイクイノックスを筆頭に「母の父」として再ブレーク中のキングヘイローの後押しを受けて、ワイズゴールドは一波乱起こすことができるだろうか。

著者:東スポ競馬編集部