ブレイディヴェーグ
2連勝中のブレイディヴェーグ(右)が権利取りに挑む

ローズステークス2023

[GⅡローズステークス=2023年9月17日(日曜)3歳牝、阪神・芝外1800メートル、秋華賞トライアル]

「秋華賞への王道ローテ」…と言いたいところだが、近10年の秋華賞優勝馬の前走レースはオークス、紫苑Sの各4勝に対してローズSは2勝止まり。近年のスタンダードである直行ローテ、もしくは年々重要度を増して今年からGⅡに昇格した紫苑Sが現在の〝王道〟となっている。今年も3冠を目指すリバティアイランドが本番直行を明言。2015年以来8年ぶりのローズS組の秋華賞制覇はなかなかハードルが高そうだ。

 秋華賞につながるかはともかく、ローズSに焦点を絞れば「春の実績馬」VS「夏の上がり馬」という図式。既成勢力がどれだけ成長した姿を見せるか、逆に夏の上がり馬の勢いがそれを上回るか。その見極めが馬券攻略の大きなポイントとなりそうだ。

 春の実績組ではラヴェル(矢作)に注目するべきだろう。GⅢアルテミスSで重賞初制覇を決めたあとは阪神JF→桜花賞とGⅠで連続11着と苦戦が続いたが、前走のGⅠオークスで4着に反発し、改めて世代上位の力をアピールした。半姉ナミュールは昨年の秋華賞で半馬身差の2着に惜敗。ここでいい競馬をして「リバティアイランドに先着した唯一の馬」として3冠を阻止すべく立ちはだかれるか。

 ソーダズリング(音無)は最後の詰めを欠いたオークス(8着)を見ると中距離戦がベストか。こちらも半姉マジックキャッスルが20年秋華賞2着。センスある自在な走りは本番の京都内回りで生きそうなだけに、重賞タイトルを手にして弾みをつけたいところ。

 ほかにもカーネーションCを勝ったアンリーロード(茶木)ら実績組はいるものの、今年の戦況は「春の実績馬」よりも「夏の上がり馬」優勢の印象も。まずはブレイディヴェーグ(宮田)。夏のローカルは全休だったため正確には「秋を見据えた隠れ実力馬」といったところか。未勝利で1秒差の圧勝を決め、骨折休養を挟んで1勝クラスもノーステッキで楽勝。対リバティの秘密兵器となり得る魅力を秘める。

 コンクシェル(清水久)は桜花賞15着大敗の後は自己条件から出直し、今夏に1勝クラス→2勝クラスを連勝。逃げの手に転じた近2走が強い内容で、キャリアを積みながら軌道に乗ってきた。鞍上にモレイラを配してきたことからも不気味な存在だ。また、GⅡフローラS3着でオークスの切符を逃がしたブライトジュエリー(橋口)、ステイフーリッシュの半妹マラキナイア(吉岡)ら良血馬がひと夏越えてどこまでトップ集団に迫れるかも注目だ。

著者:東スポ競馬編集部