岩田望とともにさらなる飛躍が期待される素質馬シャザーン
岩田望とともにさらなる飛躍が期待される素質馬シャザーン

セントライト記念2023

[GⅡセントライト記念=2023年9月18日(月曜)3歳、中山・芝外2200メートル、菊花賞トライアル]

 見る人によっては「まだ力不足」だが、ポテンシャルを信じる人間からすれば「消化不良」。今年の日本ダービーで9着に終わったシャザーン(牡・友道)のレースぶりだ。

 中団10番手でスタートして向正面はジッと待機。4角で動き出して直線は大外へというレース運び。

 1番枠ゲットが勝利の近道とされる現代ダービー。それは取りも直さず基本的に内、前が有利となることを示している。事実、今年、栄冠に輝いたタスティエーラはすぐさま前に取りついてロスない4番手を確保。2着ソールオリエンスはその直後にいた。3着ハーツコンチェルトは誰よりも先に動き、向正面で14→6番手と一気に前に取りついた。

「ちょっと消化不良に終わってしまいましたね。ポジションを取ったレースをしてほしいというリクエストだったのですが、外を回ってしまい、結局前に行った馬が上位に。何もできなかった感じです」とは藤本助手。

 操縦性の高さがセールスポイントの一つであるシャザーン。それを生かせないまま終わってしまったという。逆にいえば何もできずに勝ち馬から0秒4差なら能力を示したとも。

 反撃の秋へ、すでにノロシは上がっている。セントライト記念に向けた1週前追い切りでは栗東ウッド3頭併せで7ハロンからスタートする攻めの姿勢を見せ、一杯に追って95・2秒の好時計を叩き出した。

「動き、時計ともに良かったし、いい感じできていますよ。春に比べて体重が増えたとかはないですが、体幹がしっかりして、総合的に成長した印象を受けます」(藤本助手)

 父ロードカナロア、母クイーンズリングともにGⅠ馬という良血馬。鞍上の岩田望もまた、父に岩田康を持つ名手の遺伝子を受け継いでいる。今年のワールドオールスタージョッキーズを制したその腕で、今度こそシャザーンの本領発揮へ。馬の成長とともにジョッキーの成長も注目の一戦になる。

著者:東スポ競馬編集部