
神戸新聞杯2023
[GⅡ神戸新聞杯=2023年9月24日(日曜)3歳、阪神・芝外2400メートル、菊花賞トライアル]
21世紀に入ってからは、ダービー馬の〝次走〟として最も多く選択されているレースがこのGⅡ神戸新聞杯だ。その最大の理由が舞台設定の変更。2007年から内回り2000メートル→外回り2400メートルとなり本番・菊花賞の予行演習としての機能を強化。西高東低の勢力図もあいまって、その地位を不動のものとした。直近3年は中京2200メートルで行われたが、今年は4年ぶりに本来の設定に戻る。残念ながらダービー馬タスティエーラは不在だが、3冠最終戦の主役となる〝遅れてきた大物〟が誕生するか注目が集まる。
ハーツコンチェルト(牡・武井)はGⅠ日本ダービー出走組で最先着の3着に健闘。2000メートルではGⅠホープフルS7着→リステッド・若葉S4着と結果が出なかったが、GⅡ青葉賞(2着)に続く好走でクラシックディスタンスへの高い適性を証明した。9月7日に栗東入りし、1週前追いはウッドの3頭併せで最先着と臨戦態勢はすでに整いつつある。ラスト1冠の前に、まずは初重賞をゲットし箔を付けたい。
シーズンリッチ(牡・久保田)は出世レース・GⅢ毎日杯の勝ち馬。ダービーは毎日杯から一気に距離が3ハロンも延びたが、強敵相手に0秒4差7着と善戦。1週前追い切りではコンビ復活となる角田河が美浦に駆けつけて、南ウッド3頭併せで最先着と調整過程に不安はなし。春2冠の父ドゥラメンテは骨折のため3歳秋を棒に振ったが、息子は順調なスタートが切れそうだ。
一方、ファントムシーフ(牡・西村)はダービーで3番人気に支持されたが、期待を裏切る8着止まり。鞍上・武豊が「向正面での勇気が足りなかった」と悔やんだように、平均ペースで先行勢が残る展開を考慮すると位置取りがやや後ろ過ぎたか。出世レースのGⅢ共同通信杯を制し、落鉄があったGⅠ皐月賞(1番人気)も3着と世代トップクラスの能力は間違いなし。前哨戦で結果を出し、再び主役としてラスト1冠へ臨みたい。
見逃せない上がり馬たち
上がり馬ではデビューから無傷の3連勝と勢い十分のロードデルレイ(牡・中内田)に注目が集まる。6か月半ぶりの戦列復帰となった前走・赤倉特別は2着とはクビ差だったが、最後まで手応えは優勢。3着には3馬身半差をつけた事実からも2勝クラスでは能力が違った。ひと叩きした上積みも間違いなく、2ハロンの距離延長さえこなせばダービー上位組に食い込んでもまったく不思議はない。同じく3連勝中の注目株がナイトインロンドン(牡・大竹)だ。初勝利に3戦を要したが、その後は一気の連勝劇。その舞台は2400→2600メートルだから距離適性には何ら不安がない。本番でも惑星となりそうな存在だけに、ここで権利をゲットしておきたい。
他方、サスツルギ(牡・木村)は5戦3勝。半兄タワーオブロンドンはスプリント路線で頂点に立ったが、本馬は父がハーツクライに替わり中〜長距離仕様に。初の古馬相手となった前走・木曽川特別は単勝1・8倍の1番人気に応えて2馬身差完勝とスケール感は文句なし。新コンビを組む北村宏はこの夏、GⅢ新潟2歳S、GⅢ新潟記念を制し絶好調。菊花賞トライアルは過去にGⅡセントライト記念を4勝している同騎手だが、初参戦となる当レースでも注目の的になりそうだ。
著者:東スポ競馬編集部