神戸新聞杯2023

[GⅡ神戸新聞杯=2023年9月24日(日曜)3歳、阪神・芝外2400メートル、菊花賞トライアル

【トレセン発秘話】今年の英愛ダービー馬オーギュストロダンが9日の愛GⅠチャンピオンSを制し、父ディープインパクトの血がまたしても脚光を浴びている。過去にも世界の大舞台で活躍する日本馬はいたが、種牡馬として海外でこれだけの成功を収めた馬はいない。この世を去ってなお存在感を発揮し続ける日本競馬の至宝は、これからも国内外の競馬史に伝説を刻んでいくことだろう。

 そのディープインパクトが単勝1・1倍の圧倒的人気に応えて3冠制覇へ好発進を決めたのが神戸新聞杯(2005年)。残念ながらラストクロップとなる当世代に出走馬はいないが、それでも血の存在感はまったく色あせない。なぜならディープインパクト産駒のサトノダイヤモンド(16年神戸新聞杯→菊花賞勝ち)を父に持つサトノグランツがスタンバイ。優勝すれば史上初の「親子3代制覇」の偉業となるからだ。

 もちろん、その期待は安易な絵空事ではない。厩舎のスポークスマン・大江助手が、ひと夏越しての成長を力強くアピールする。

「もともと成長は遅めと感じていて。ダービーよりも菊花賞のほうが馬が良くなり、パフォーマンスが上がると思っています。乗った感触的にも春より馬がしっかりして、バランスを取れるようになっていますね」

 未勝利から一気の3連勝で京都新聞杯を制した春はまだ良化途上の段階。体にも緩さが残っていた分、エンジンのかかりが遅いところがあった。特にダービーに関しては不利な大外枠に加え、空馬の影響も…。11着と苦杯をなめたとはいえ、2位タイの上がりをマークしての0秒7差なら決して完敗ではない。夏の充電効果で陣営の思惑通りもう一段の成長曲線を描く今なら、再度の重賞制覇が視界に入る。

「スローのヨーイドンになるとどうかですが、速い時計で走る分には大丈夫。ジョッキー(川田)もこの馬のいいところを分かってくれていますし、上手に判断してくれると思います。ここでいい競馬をして、本番でも勝ちを目指したいですね」

 鉄砲も利くとはいえ、使えばさらに良くなるタイプ。「京都新聞杯からダービーの間でも筋肉の張りがグッと増した」というサトノグランツが神戸新聞杯を制した暁には…。本番の菊花賞でも親子3代制覇のシーンが見られるかもしれない。

サトノグランツの完全本格化はもう間近だ
サトノグランツの完全本格化はもう間近だ

著者:西谷 哲生