2013年の記憶

毎年、仏GⅠ凱旋門賞の3週間前に、全く同じ舞台となるパリロンシャン競馬場の芝2400メートルで、3つの前哨戦が行われる。
3つとは、すなわち3歳限定のGⅡニエル賞、古馬のGⅡフォワ賞、そして牝馬のGⅠヴェルメイユ賞だ。その前哨戦デーが、日本馬にとって素晴らしい一日となったのが2013年だった。
まずは現地時間1時30分に行われたニエル賞。ここに挑んだのはこの年の日本ダービーの覇者キズナ(佐々木)。武豊騎手にいざなわれると、英国のダービー馬ルーラーオブザワールドとの叩き合いを短頭差制し、勝利した。
その約1時間40分後に行われたのがフォワ賞。今度はC・スミヨンのオルフェーヴル(池江)が終始楽な手応えのまま、2着を3馬身ちぎって先頭でゴールに飛び込んだ。
パリで飛び交った「ジャポーン!」コール

わずか2時間弱の間に、日本からの遠征馬が次々と勝利。パリの競馬場はそこかしこで「ジャポーン!」「ジャポーン!」の声援に湧き、記者席でも「JAPON」の活字が連打された。
「もちろん、本番は次ですけど、日本馬のレベルの高さは見せられたと思います」
武豊騎手がそう言うと、佐々木調教師も池江調教師もうなずいた。
ちなみにキズナとオルフェーヴルは本番の凱旋門賞でもそれぞれ4、2着と好走。制したのがもう1つの前哨戦であるヴェルメイユ賞を制したトレヴだったのは皮肉ではあったが、果たして今年の各馬は本番でどんなパフォーマンスを披露するだろうか。そして、それらの強敵を相手に、ぶっつけでの挑戦となるスルーセブンシーズ(牝5・尾関)がどんな競馬を見せてくれるのか。注目したい。(平松さとし)
著者:東スポ競馬編集部