
スプリンターズステークス2023
[GⅠスプリンターズステークス=2023年10月1日(日曜)3歳上、中山競馬場・芝外1200メートル]
今年に入ってのスプリント重賞(2、3歳限定は除く)で8レースで1番人気の勝利は1度だけ。頂点のレースであるGⅠ高松宮記念も12番人気の伏兵ファストフォースが勝利し、その高松宮記念を含む半数の4レースで3連単40万円以上を記録した。王者不在の短距離戦線の混迷ぶりを表すようなレースが続いている。
秋の短距離王決定戦のここも春王者ファストフォースが不在。確たる主役も見当たらず今回も波乱の予感が漂うが、そんなムードを一掃するようなスプリント王が誕生するか。
そんなメンバー構成だけにナムラクレア(牝4・長谷川)にとって悲願のGⅠ制覇のチャンスだろう。昨年は5着とはいえ内有利の馬場に泣かされたもの。前走のキーンランドCは着差以上の完勝で芝6ハロン重賞4勝目をゲットした。春の高松宮記念では勝ち馬の大駆けに屈したが、短距離王の座に一番近い存在であるのはこの馬で間違いない。
冒頭で触れた今年の短距離重賞8レースの中で、唯一の2勝馬がCBC賞→北九州記念連勝のジャスパークローネ(牡4・森秀)。ここにきての充実度なら最上位だ。前走・北九州記念は3ハロン32秒9のハイラップを刻んで押し切った一方、ハナを切れなかった函館SSでは16着に大敗。強さとモロさの同居するタイプだけに展開はカギとなるが、自分の形に持ち込めれば再度の逃げ切りがあっても。
昨年の2、3着馬が今年も参戦。ウインマーベル(牡4・深山)は3歳の身で挑んだ初GⅠでクビ差2着とトップ級のスピードを見せた。また、昨年の高松宮記念勝ち馬ナランフレグ(牡7・宗像)も自慢の差し脚で勝ち馬から0秒2差まで追い上げた。ただ、ともにその後の走りは精彩を欠き、前哨戦のキーンランドCでは大敗しているだけに…。
アグリ(牡4・安田隆)は4連勝で年明けの阪急杯V。その後のGⅠ2戦では結果が出なかったものの、仕切り直しとなった前走・セントウルSで最速上がり2着と力を再アピールした。3度目のGⅠ挑戦でチャンスをつかみたいところ。さらに、1年ぶりのアイビスSDを制したオールアットワンス(牝5・中舘)、芝6ハロンの日本レコードホルダー・テイエムスパーダ(牝4・木原)、復活を期すピクシーナイト(牡5・音無)、函館スプリントS勝ち馬キミワクイーン(牝4・奥村武)らV有資格馬は五指に余る状況だ。
また、ファンの人気も含めて注目したいのはメイケイエール(牝5・武英)とママコチャ(牝4・池江)。メイケイは6度目のスプリントGⅠ挑戦。昨年の同レース、今年の高松宮記念と1番人気を裏切っているだけに、主戦・池添も巻き返しに力が入ろう。ママコチャは白毛ソダシの全妹。初の6ハロン戦となった北九州記念で2着と即結果を出しており、偉大な姉の背中を追うべくGⅠホースとなることができるか。
著者:東スポ競馬編集部