GⅠ初挑戦のママコチャ
GⅠ初挑戦のママコチャ

スプリンターズステークス2023

[GⅠスプリンターズステークス=2023年10月1日(日曜)3歳上、中山競馬場・芝外1200メートル]

「斤量」は競馬予想に欠かせない重要なファクターの一つ。とりわけ、その影響が如実に表れるのがハンデ戦だろう。レース当週にハンデが発表されると、厩舎関係者が一喜一憂する姿が定番になっており、よくある声は「57キロまでは許容範囲だけど、57・5キロだと厳しいかなぁ…」といったもの。素人目では「たった0・5キロでそんなに違うの?」と感じてしまうが、その0・5キロがあるか、ないかで勝負際での伸び脚に大きくかかわってくるのだそうだ。

「ハンデ(55・5キロ)が重かったですね」

 苦い表情で北九州記念2着を振り返ったのはママコチャを管理する池江調教師。それまで1400〜1600メートルを主戦場にしてきた馬が、前回は距離を縮めて初のスプリント重賞に矛先を向けた。互角のスタートを決めると、道中は5〜6番手で流れに乗る。直線でも鞍上のゲキに応えて脚をグッと伸ばすも、テンからハナを主張したジャスパークローネにわずか半馬身差およばず、逃げ切りを許してしまった。

「アローワンス(牝馬は2キロ減)を考えれば、勝ち馬(57キロ)よりもこちらが(実質)0・5キロ重たかった。その差だと思います。勝ち馬はその前に重賞(CBC賞)を勝っていたのに対して、こちらは勝っていない。あのハンデは不可解でした。重賞の権威が落ちてしまいますよね」(池江調教師)

 ママコチャはその前の安土城Sを1分19秒0の好時計で3馬身差圧勝。確かに強い競馬だった。ただ、あくまでリステッドでの結果。にもかかわらず、重賞を勝った馬よりも高く評価されたのだから、トレーナーが苦言を呈するのは無理もないが…。裏を返せば、そうした逆境の中で2着に食い込んだのは紛れもなくポテンシャルの高さの証し。最高峰の舞台、スプリンターズSを前にしても期待は一層、高まる。

「今度は定量戦ですから。もちろんGⅠで相手は揃いますが、力はあるのでチャンスはあると思いますよ」

 初めての距離、納得いかないハンデにもかかわらず、初タイトルまであと一歩まで迫ったママコチャなら…。GⅠという大舞台で初タイトル奪取を決めても驚きはない。

著者:東スポ競馬編集部