21日、大井競馬場で行われた2歳重賞・ゴールドジュニア(SⅢ、1200メートル)は、1番人気のクルマトラサン(牡・張田京)が4番手から抜け出して快勝。デビュー戦は持ったままで2着馬に2秒もの大差をつける圧巻のレース内容だったが、無傷の2連勝で重賞初制覇を飾った。次走はSⅠハイセイコー記念(10月31日=大井1600メートル)を予定しており、国民的映画の主人公を連想させる馬名からも人気を集めそうだ。

 クルマトラサンは父ベストウォーリア、母エメラルドアロー、その父ヨハネスブルグという血統。ベストウォーリアは2世代目にして、初の重賞制覇となった。

 ベストウォーリアの父は米GⅠホープフルSの勝ち馬マジェスティックウォリアー。日本でもダート系種牡馬として人気を集めているが、このベストウォーリアに関しては米国供用時代に残してきた外国産馬となる。ミスタープロスペクター4×4、セクレタリアト4×5×5、ボールドルーラー5×5、父方が持つバックパサー5×5に加え、牝馬のブロードウェイ5×5という多重クロスが特徴的だ。

 3歳時にGⅢユニコーンSで重賞初勝利を挙げると、4、5歳時にはJpnⅠマイルチャンピオンシップ南部杯とGⅢプロキオンSを連覇。6歳以降は勝ち星を挙げることはできなかったが、南部杯やJpnⅠ・JBCスプリント、GⅠフェブラリーSで2着に入るなど、長きにわたってダート戦線で主役級を務めた。

 8歳で引退したあとは優駿スタリオンステーションにて種牡馬入り。シニスターミニスター、パイロとダートで好成績を収めるエーピーインディ系であることに加え、父マジェスティックウォリアーの180万円に比べると30万円という安価な種付け料から、初年度は158頭もの牝馬を集めることに成功した。種付け料からも出走馬は地方競馬が大半で、2位マインドユアビスケッツ(17勝)の倍以上となる35勝を挙げて、2022年の地方2歳新種牡馬チャンピオンに輝いている。

 現在の地方2歳リーディングを見てみると、1位モーニン(11歳)、2位ダノンレジェンド(13歳)、3位ベストウォーリア(13歳)、4位ホッコータルマエ(14歳)、5位アジアエクスプレス(12歳)と現2歳が4世代目以内という若い種牡馬が名を連ねている。18年にこの世を去ったサウスヴィグラスがリーディングの座から転落したここ2年はエスポワールシチー、パイロ、シスターミニスターの3頭が激しくその座を争っているが、エスポワールシチーとパイロはともに18歳、シニスターミニスターに至っては20歳といずれも高齢の域に入っている。2、3年後には一気に世代交代が進んでいる可能性が高そうだ。

JpnⅠマイルチャンピオンシップ南部杯を連覇したベストウォーリア
JpnⅠマイルチャンピオンシップ南部杯を連覇したベストウォーリア

著者:東スポ競馬編集部