エリザベス女王杯2023

[GⅠエリザベス女王杯=2023年11月12日(日曜)3歳上牝、京都競馬場・芝外2200メートル]

 第48回エリザベス女王杯(12日=京都芝外2200メートル)で史上5頭目の連覇にチャレンジするジェラルディーナ。急激な成長と勢いで頂点をもぎ取った昨年に比べ、今年は物足りない競馬が続いているようにも見えるが…。それは成熟し切ったがゆえに“ヒット”できるレンジが狭まったからという見方も。武豊も含めた関係者の証言をまとめると、この女王杯でこそ“芯を食う”走りを見せてくれそうだ。

 昨年の覇者として本来は挑戦者を迎え撃つ立場のジェラルディーナ。しかし、今年4走の成績に物足りなさを覚える方も多いのではないか。一方で若さあふれる3歳勢はローズS2着で優先出走権を獲得しながら秋華賞をスキップしたブレイディヴェーグに、牝馬3冠で安定した走りを見せたハーパー…。フレッシュさでこちらに分があるのは言うまでもない。果たしてジェラルディーナの現在の立ち位置は?

 これまでで最も伸長度を示したのが昨年の秋。「普段の落ち着きが出てきたことで調整がやりやすくなったし、馬体も良く見せるようになった。それに伴い、しっかりと負荷をかけられるようになって、馬がへこたれることもなくなりました」と斉藤崇調教師が話した通り、レース前に多少はイレ込んでも、レースでは折り合い面に進境を見せたことで、オールカマーでの重賞初制覇、続くエリザベス女王杯優勝へとつながった。

 あれから1年。すでにピークを過ぎてしまったのか? この点についてトレーナーは興味深い発言を、大阪杯(6着)後にしている。

「折り合いがつきやすくなった半面、ズブさを見せるというか、前半からはポジションを取りづらくなっているんです。もともとが瞬発力というより持久力を生かしたいタイプ。2000メートルの距離でペースが落ち着いてしまうと、レースの組み立てが難しくなってしまうんですよね」

 つまり、完熟期を迎えたがゆえに、全能力を解き放つことのできる条件が極めて限定的なものに変化。言い換えれば、狙いすましたレースでこそ輝く個性を身につけたということだ。

 この仮説に関して宝塚記念(4着)でコンビを組んだ武豊も符合するような言葉を残している。追い切り後は「思ったよりもひっかかっていく感じはなく、のんびりと走れていた」とイメージと違った点を指摘していたものの、レース後は「ハミを取ったところで無理に抑えず行かせ、直線を向いたところでは勝てそうな手応えだったけど、後ろを引き離すまではいかなかった。レースの中での気持ちに波がありますね」。

 この中間、陣営に悲観する様子が見られないのは、これまでの敗因がつかめているうえに、気配の良さにも自信があるからに他ならない。そう、狙いすました一戦だからこその鞍上・ムーアなのだろう。

「放牧を挟みましたが、すごくいい雰囲気での帰キュウで、期待していた通りに前走を使ってさらに上向いたという印象です。京都の外回り、距離2200メートルという条件ならレースを進めやすくなりそう。道中でズブさを見せるところも坂の下りをうまく利用して、有利な展開に持ち込むようなレースを期待しています」(斉藤崇調教師)

 偉大な母ジェンティルドンナの足跡を追って挑戦を続けてきたジェラルディーナ。史上5頭目の連覇となれば母の影にまた少し近づくことができる。

カメラ目線を怠らないジェラルディーナ。さすがは女王様だ
カメラ目線を怠らないジェラルディーナ。さすがは女王様だ

著者:石川 吉行