2015年のエリザベス女王杯を制したマリアライト(左)
2015年のエリザベス女王杯を制したマリアライト(左)

エリザベス女王杯2023

[GⅠエリザベス女王杯=2023年11月12日(日曜)3歳上牝、京都競馬場・芝外2200メートル]

【トレセン発秘話】毎年必ず波乱のドラマが生まれるエリザベス女王杯。中でも2015年は熱かった。主役はそう、女傑マリアライトです。

 久保田厩舎に初のGⅠタイトルをもたらした同馬について、調教を担当していた池内助手は「背中が良かったですね。若い時は体質の弱かったのですが、成長してくれれば大きいところでも活躍できると思っていました」。

 この年のエリザベス女王杯は前年のオークス馬で以後も牡馬に伍して活躍を続けていたヌーヴォレコルトが1番人気。一方マリアライトは重賞未勝利で6番人気。しかし、中団から力強く脚を伸ばし、ヌーヴォレコルトの追撃をクビ差振り切って優勝。初重賞勝ちがGⅠ勝ちになったのです。場内が騒然としたこのレースについて池内助手は、「最後までしっかり気持ちが切れずに走り切って、よく頑張ってくれましたね」とマリアライトの底力をたたえつつ、「まさか勝てるとはって感じでしたが、先頭でゴール板を駆け抜けた時は素直にうれしかったですね」と振り返ります。

 こんなマリアライトを語るうえで外せないのは「祭りでも、怪物でもない」の実況フレーズで有名な翌年の宝塚記念。この表現からもわかるように、戦前はキタサンブラックとドゥラメンテの2強ムードでしたが…フタを開けてみると粘るキタサンブラック、迫るドゥラメンテを抑えての大勝利。

 池内助手は「相手に強い牡馬がいっぱいいてどこまでやれるか…と半信半疑でしたが、有馬記念で大外枠から4着に入ったように馬自身が力をつけつつあったのは事実ですからね。勝負どころで外からスムーズに競馬ができたのが勝因だと思います」と両雄を一挙に破る快挙の瞬間を語ってくれました。

 マリアライトは現在、自身の育った久保田厩舎に子供たちを送り出すお母さんに。オーソクレースが21年の菊花賞で2着に入ったように子供たちも母がつかんだ大舞台へ向けて羽ばたきつつあります。池内助手も「(オーソクレースは)能力的にいいポテンシャルを秘めていたのでタイトルを取らせてあげられなかったのが心残りですね。(これからの子供たちも)お母さんと同じように大きい舞台へ連れて行けるように育てていきたいですし、また大きい舞台を取れる日が来て欲しいです」と産駒たちに期待を寄せつつ、マリアライトについては「なかなか経験できないことを経験させてもらったので記憶的にも記録的にも残る唯一無二の存在ですし、感謝してもしきれない気持ちです」と思いを語ってくださりました。

 もちろんマリアライトだけでなく、毎年の出走馬一頭一頭にそれぞれのストーリーがあるのは競馬の常。今年の淀では2分10秒余りでどんなドラマが生まれるのか、1秒たりとも見逃すことなく焼き付けたいと思います!

著者:権藤 時大