米ケンタッキー州の引退馬施設オールドフレンズで過ごすシルバーチャーム(2015年10月撮影=秋山響氏提供)
米ケンタッキー州の引退馬施設オールドフレンズで過ごすシルバーチャーム(2015年10月撮影=秋山響氏提供)

 2月4日の高知8R・立春特別(C2、ダート1400メートル)はニクソンテソーロ(牡4・田中守)が1番人気に応えて快勝。中央から高知競馬に移籍してから、これで9戦8勝と快進撃を続けている。この勢いがどこまで続くのか楽しみだ。

 ニクソンテソーロは父フェノーメノ、母アンクレットの血統。母の父はジャイアンツコーズウェイの初年度産駒で英2000ギニーの勝ち馬フットステップスインザサンドで、祖母のフローリオットは伊GⅠリディアテシオ賞の勝ち馬だが、曽祖母フュルーの父は輸入種牡馬でもあるファーディナンドだ。

 ファーディナンドは1983年生まれの米国産馬で、父は英3冠馬のニジンスキー。3歳時にケンタッキーダービーを制すると、4歳時にはハリウッドゴールドC、BCクラシックにも勝って、米年度代表馬に輝いた。

 日本には94年に輸入され、95年からアロースタッドで供用された。初年度こそ77頭の牝馬を集めたものの、年々種付け頭数は減少。産駒の不振もあって、2000年には10頭にまで減少してしまった。その後、アロースタッドから個人牧場に移って種付けを行っていたが、02年に2頭を種付けしたのを最後に行方不明となってしまった。

 日本在住の米国記者が行き先を調査した結果、どうやら屠殺場送りになったらしいことが判明。このことは世界各国に発信された。ファンや関係者に愛された馬だっただけに、日本は米国から激しいバッシングを受けることになる。これ以降、米国から種牡馬を輸入した際に、日本で種牡馬生活を終えた時には米国に買い戻すと条項が加えられるようになったと言われている。

 米国でも、これを機にオールドフレンズが設立され、シルバーチャームやサンシャインフォーエヴァーなどが帰国して余生を過ごしている。日本ではかつてはヒカリデユール、カネミノブ(共に有馬記念)でさえ、最後は行方不明になっていたが、現在はNPО法人引退馬協会、yogiboヴェルサイユリゾートファームなどが功労馬の受け皿となっている。

 種牡馬としては結果を残せなかった米国の名馬ファーディナンドではあったが、間違いなく引退馬の処遇を考える転機となった1頭といえるだろう。

著者:東スポ競馬編集部