阪急杯2024

[GⅢ阪急杯=2024年2月25日(日曜)阪神競馬場、芝内1400メートル]

【トレセン発秘話/記者の特注馬】昨年はリバティアイランドで見事に牝馬3冠制覇を達成した中内田厩舎。同馬は今年初戦として予定しているGIドバイシーマクラシック(3月30日、芝2410メートル)へ向けて既に栗東トレセンへと帰厩し、元気な姿を見せている。さらにはGⅡ金鯱賞から始動し、その後に香港遠征のプランもあるプログノーシスなど、厩舎をのぞくと豪華ラインアップの面々がズラリと居並び、こちらが圧倒されるほど。年を追うごとに管理馬の質がレベルアップされていく厩舎内において、ダノンティンパニーが歩んできた足跡は少し異質と映るかもしれない。

 馬柱には(地)と表記されているようにデビュー地は園田競馬。3連勝で中央に転入しての初戦は4歳の10月と遅れに遅れたものの、斤量面で優位に立つ3歳馬たちを蹴散らし、ラストは物見をしながらも力で押し切ってしまう強い競馬での完勝だった。当時の陣営のコメントも相当に強気だったことを思い返しても、ダノンティンパニーの秘めたるポテンシャルの高さに相当な期待がかけられていたことは言うまでもない。

「とにかく黙って見ておいてください」(厩舎談)。初めての中央出走、芝でのレースを経験したこともない、いわばオールドルーキーには未知数な不安点が多々あると心配になるところも。

「絶対に芝のほうがいいです。それに広いコースのほうがいい。そんなことより1勝クラスではモノが違います。順調に使っていければ、たぶんオープンまで一気にいけるんじゃないですか。それが難しそうではあるんですが…」。まとめると、持って生まれた素質はすでにオープン級。体質が弱く3歳戦には間に合わず中央デビューこそかなわなかったが、まだひ弱さの残る段階の園田在籍時にダートでの競馬とはいえ、競走馬としての基礎をしっかりとつくり込まれてから即戦力としての中央転入。いまだ体質の弱さから使い込めない不安があるだけに、出たとこ勝負の負けられない一戦であったとの仕上げに、無事馬が応えての完勝劇であった。

 中央2戦目の2勝クラスでは上がり33秒0の脚を使いながらも展開のアヤもあってハナ差2着に敗れるが、その後は長期の休養を挟みつつの連勝で予告通りにオープンクラスにまで駆け上がった。休養を経ていくごとに馬体は充実し、強い調教にも耐えられるようになった点も見逃せない。3連勝でオープン初勝利に期待のかかった前走・ニューイヤーSだったが結果はまさかの5着敗退。

「前走はスタートのタイミングが合わずに出遅れ。直線でも内に進路ができたところへ勝ち馬に先に入られてしまったりと、色々と不利の重なるレースとなってしまいました。それでも昇級戦であったことを思えば、オープンでも通用する実力を示すことはできました」と福永助手。決してオープンのカベにはね返されたというような負け方ではなかったことを強調しておきたい。

 それを示すように次走に陣営はメンバーレベルをもう一段階引き上げた重賞挑戦を選択した。

「今回は重賞でさらにメンバーは強くなりますが、スムーズなレース運びで改めてですね。前走後も在厩のまま順調に調整を進められていますし、前走ではマイルの距離にも対応してくれましたが、千四の距離には実績がありますからね」と福永助手も期待を隠さない。遅れてきた大物がここで重賞制覇を果たせば、厩舎の布陣はまた一段と層が分厚くなることだろう。

初重賞挑戦&初制覇を目指すダノンティンパニー
初重賞挑戦&初制覇を目指すダノンティンパニー

著者:石川 吉行