日曜の小倉を最後にジョッキーを引退する秋山真一郎
日曜の小倉を最後にジョッキーを引退する秋山真一郎

 3月から調教師に転身するため、25日の小倉での騎乗を最後にムチを置く秋山真一郎(45=栗東・フリー)。ここまでJRA通算1058勝(18日終了時点)を挙げるなど輝かしい実績を残している名手は、これまでの現役生活を「イメージ通りじゃなかった部分もいっぱいあったけど、子供の頃からずっとなりたいというのがあったから、〝自分はジョッキーだ〟という誇りは譲れなかったですよね。それがマイナスに影響した部分もいっぱいあったと思うけど、自分が理想とするジョッキーではずっといられたと思う」と振り返る。

「かっこいい」と憧れてきたヒーローは武豊。その背中を追いかけて1997年3月に野村彰彦厩舎からデビュー。2012年のNHKマイルCをカレンブラックヒルで制すなど交流含めGⅠ3勝(12年阪神JF=ローブティサージュ、14年ジャパンダートダービー=カゼノコ)、JRA全10場重賞制覇など騎手として多くの実績を残してきた。

記憶に残るのはベッラレイアのオークス

2007年のオークスでは1番人気ベッラレイア(奥)でハナ差の2着に
2007年のオークスでは1番人気ベッラレイア(奥)でハナ差の2着に

 その中でもっとも記憶に残るレースは、ベッラレイアとのコンビで挑んだ07年オークス。「あの(ハナ)差は何とかなったんじゃないかなと。仕掛けが早かったとか、もちろんそういうのもあるけれど、それよりも浮足立っていましたよね。GⅠで1番人気に乗るのも初めてで。キャリアでは最初のほうだったし、勝っちゃうんじゃないかと雰囲気にのまれて、馬のいいところで乗っていなかった。重心が、馬の走りやすいところで乗っていなかった」

 数々の勝利を手にしてきた名手が、敗れたレースを真っ先に思い出として挙げる。当時の悔しさはどれほどのものだったろうか。そのオークスを機に、秋山真騎手は理想の騎乗フォームや馬上でのバランス感覚を徹底的に追求してきた。「アクションが大きいとか小さいとかよりも、いかに馬の上で馬の走りやすいところで乗っていられるか、そこにずっといられるか。僕はそこが大事だと思って、今までずっとやってきました」

 磨き上げてきた騎乗技術を競馬場で見られるのも25日がラスト。この日は計7レースに騎乗を予定しており、午後4時半ごろからは小倉競馬場のウイナーズサークルで引退式が行われる。

「僕、あまり泣いたりしないんですよ。でも、その日は今までと違う感情になるのかな。最後は泣きます」

 ラストライドとなるのは、ダンツイノーバとのコンビで臨む小倉メインの下関S。自身の花道をうれし涙で飾る瞬間をファンは待っている。

著者:西谷 哲生