新王者マッドクールと坂井瑠星
新王者マッドクールと坂井瑠星

高松宮記念2024

[GⅠ高松宮記念=2024年3月24日(日曜)中京競馬場、芝1200メートル]

 24日に行われた春のスプリント王決定戦・GⅠ高松宮記念(中京競馬場=芝1200メートル)は、6番人気のマッドクール(牡5・池添)が優勝。昨年12月の香港遠征以来の実戦で見事GⅠ初タイトルをモノにした。果たして再び海を渡る可能性も出てきた勝ち馬の将来は? 徹底検証する。

 普段通りクールな表情で引き揚げてきた坂井は「勝てて良かった。未勝利を勝った時から乗せていただき、その時からいずれ高松宮記念に行きたいねと話していた」と打ち明け、続けて「昨年秋に悔しい思い(スプリンターズS・2着)をして、リベンジできてうれしい」とホッとした表情で語った。

 大方の予想通り香港馬ビクターザウィナーがハナを主張。いいスタートを切ったマッドクールは無理することなく逃げ馬を前に見ながら2番手を進む。直線で逃げた馬が馬場のいい外に持ち出すなか、終始ラチ沿いをキープし残り1ハロンあたりでスッと抜け出す。ゴール前で馬体を併せに来たナムラクレアに迫られたがアタマ差残し初のGⅠタイトルを獲得した。前後半34秒934秒0の後傾ラップをしのぎ切っての勝利だった。

「一番理想的な位置で運べ、直線も内ラチぎりぎりを攻めた。思っていた通り競馬ができたし、馬がしっかりと脚を使ってくれた」と振り返った坂井。「追い切りの動きも良かったし、返し馬でもいつもと変わらない感じ。これまでも乗っていたので不安なくレースに臨めた」とし、「悪い馬場にも耐えてくれたし、直線で後ろを引き離した時にこれならと思った。後ろの馬の脚音が聞こえなかった中で迫られたけどしのぎ切ってくれた。スプリンターズSでハナ差負け。コンビを解消されてもおかしくない中で乗せていただき、結果を出すしかないと思っていた」と胸中を明かした。

 この日の中京は、前日からの雨で内を通った馬が上位を占めることが多かったが、直線でも無理に外に出すことなく終始内を譲らず、マッドクールの力を信じた坂井の冷静な騎乗が光った内容だった。

 池添調教師は「香港で減らした体も戻っていたし、馬の状態もボリュームアップして放牧から戻ってきてくれた。直線で差を広げたので勝てるかと思ったけど、急に詰められ、最後はどうかなと思ったけど残してくれた」。レース前に「瑠星と外に出さなくても、1頭分(荒れていないところが)あるのでそこを突ければと話していたけど、その通りの競馬をしてくれた」と鞍上の坂井に賛辞を贈った。

 マッドクールについて騎手、調教師ともに「まだ緩さがある分、伸びシロがある」と語るなかでのGⅠタイトル獲得。次走は香港遠征もプランにあると話した。香港の取材陣からの「1か月とかの短期免許で香港に来たい気持ちは?」との問いに坂井は「もちろん。ぜひぜひ」と興味を示した。人馬ともこれから先に夢の広がるレースだった。

著者:芝井 淳司