中東最大級の競馬の祭典・ドバイワールドカップデー(30日=UAE・メイダン競馬場)がいよいよ今週末に迫った。国内でも日本馬が出走する4つのGⅠレースが馬券発売されるが、最大の注目はドバイターフ(芝1800メートル)のドウデュース(牡5・友道)、同シーマクラシック(芝2410メートル)のリバティアイランド(牝4・中内田)の2頭だ。“世界ナンバーワン”イクイノックスがターフを去った今、世界の舞台で日本競馬の実力をどこまで示せるか、両陣営の“直前”に迫った。

◆リバティアイランド/ウッド追いでも非凡な瞬発力

牝馬3冠のリバティアイランドが世界に羽ばたく
牝馬3冠のリバティアイランドが世界に羽ばたく

 圧倒的な強さで牝馬3冠制覇を達成したリバティアイランド。続くジャパンカップでは世界ナンバーワンのイクイノックスに挑戦して4馬身差の2着に敗れるも、3歳牝馬が“世界一の馬”に果敢に挑戦する姿には誰もが胸を熱くし、今年のさらなる活躍を予感せずにはいられなかったであろう。そして年が明け、陣営が今年初戦に選んだレースがドバイシーマクラシック。2月13日には栗東トレセンへと帰厩し、3月21日の出国まで順調に調整メニューを消化してきた。

「19日の国内では最終となる追い切りもいい動きでしたし、何のトラブルもなく順調に調整できています。検疫厩舎に移動して1、2日はソワソワもしていましたが、すぐに落ち着いてくれました。まだおてんばなところは見せたりもしますが、違う環境にもすぐに慣れてくれたあたりは大人になってくれたのかと思います。走りにも力強さが出てきました。初めての海外遠征でどう変わるのかは分からないですが、普段の感じを見ていると向こうにいっても落ち着いてくれればと思います」と中内田調教師。

 帰厩して2本目の追い切りでは坂路4ハロン52・9秒の好時計をマークし、さすがの存在感を見せつけた。そこから1か月弱の期間、テンションを上げないように考慮しつつもしっかりと負荷をかける入念な調整が行われ、13日のウッドで長めからの併せ馬の追い切りでも6ハロン82・7ーラスト1ハロン11・5秒で楽に先着と非凡な瞬発力に力感の加わったフットワークが目を引いた。

「今後の視野を広げるためにも、世界の強豪と走ってどういう走りをしてくれるのか、ここならリバティが力を出してくれるんじゃないかと思って、オーナーとも協議したうえで挑戦することとなりました。ベストのパフォーマンスができるように全力で挑みたいですね」と同師。準備を万端に整えて、天才少女がいよいよ世界に羽ばたく時がやってきた。(石川吉行)

◆ドウデュース/ハーツ産駒ならではの〝もう一段階進化〟

〝進化〟したドウデュースが昨年のリベンジへ挑む
〝進化〟したドウデュースが昨年のリベンジへ挑む

 昨年の天皇賞・秋(7着)、ジャパンC(4着)はイクイノックスの前に完敗で実力差をまざまざと見せつけられてしまったドウデュース。ジャパンCのレース後にルメールが感極まったように、イクイノックスには特別な感情を持って接して異次元の存在だっただけに素直にその強さを認めるしかなかった。続く有馬記念でダービー以来となるGⅠ3勝目を挙げて華麗なる復活を遂げたが、世界最強馬の引退によって暫定王者決定戦の意味合いが大きくなった一戦で、名手・武豊の絶妙な手綱さばきが勝因の大きなウエートを占めたのも事実。ただ、ダービーでイクイノックスを負かしたのは紛れもない事実。押し出される形とはいえ、リバティアイランド(ジャパンカップ2着)とともに古馬王道路線の主役を務めるためにも、今年はイクイノックスが果たしてきた王者の重責を一身に背負って戦うことになる。

 ドバイターフへ向けての調整は順調に進んで調教の動きは抜群。成長力に富んだハーツクライ産駒らしく、もう一段階の進化を遂げてきた印象さえある。国内での2週前追い切りの手綱を取った武豊は「相変わらずさすがだな、という動きだった。不安材料は特にない。(メイダン競馬場は)乗りやすくて馬も走りやすい。左回りの1800メートルで条件的にはすごくいい。昨年はゲートインすらできなくて悔しい思いをした。有馬記念でいいレースができたし、今年はこの馬に懸けるところが大きい」と絶対王者がいなくなった今年は自身とドウデュースが先頭に立って国内外の競馬をけん引していく立場になったと自負している。

 その昨年は直前のメディカルチェックをクリアできずに取り消しの判断が下って無念の帰国。それだけに武豊、陣営にとっても今年こその気持ちは強い。有馬記念で国内を制圧したことで今年はさらなる高み、ステージでの走りを求められるが、まずは世界の舞台でその実力を誇示しなければならない。秋には一昨年に挑戦して19着に惨敗した凱旋門賞へのリベンジなど、追う立場から追われる立場へと変わっただけに誰もが納得する圧倒的な走りで24年の初戦を飾ってほしい。(難波田忠雄)

著者:東スポ競馬編集部