重賞でディープインパクト産駒のワンツーフィニッシュはよく見る光景でしたよね。詳しくまでは調べていませんが、ワンツースリーもそれなりにあるのでは? この2015年エプソムカップもディープインパクト産駒が上位(1〜3、5着)を独占。ちなみに上位2頭はのちのGⅠ馬。改めて思えば、すごいレースでした。
本命は四苦八苦
このレースで重賞初制覇を飾ったエイシンヒカリは、年末の香港カップだけでなく、翌年にはフランスのイスパーン賞も勝利。海外GⅠ2勝の名馬へとステップアップしていきます。クビ差2着のサトノアラジンは、デビュー当初から期待値の高かった馬。このレースから約2年後の安田記念でGⅠ馬の仲間入りを果たします。前述しましたが、後のGⅠ馬2頭がGⅢで叩き合っていたわけですから、いわゆる〝出世レース〟だったと表現しても問題なし。
勝ったエイシンヒカリはイメージ通りの逃げ切りでしたが、サトノアラジンは追い込みを決めた安田記念のようなレース運びでなく、好位の4番手を追走。直線は内から伸びてくるという実に〝味〟な競馬をしていました。まあ、VTRで確認したからこそ、このような正しい情報が伝えられるわけで、当時の僕は前のほうを走っている馬に全く興味を示しておらず、それなりにスタートを出ていたはずなのに、なぜか後方を追走し、直線でも出すスペースを探すのに四苦八苦していたフルーキーの動向のみを注視してました。
スムーズだったら勝っていた…とまでは言いませんが、もう少し際どかったんじゃないの? 7年が経過した現在でもそう思うのです。ええ、分かっています。完全な負け惜しみ(苦笑)。でも、フルーキーはこのようなレースが実に多かった。もう少し実績をつくれた馬なんだけどな、と思っている次第なのです。
5着馬までも…

さて、愛しのフルーキーが4着止まりで阻止できなかったディープインパクトのワンツースリー。上位の2頭はニックスとして有名なディープインパクト×ストームキャットの配合。ちなみにフルーキーの後ろでゴールした5着ヒラボクディープも同配合でした。
当時、誰もが注目した黄金配合でしたが、このような結果を見ると「本当にすごかったんだなあ」と痛感しますね。キズナだけではなかったのね、と。大好きなラキシス号も同配合──。まあ、サトノアラジンの全姉なので当然なのですけど(苦笑)。
リアルスティール、ラヴズオンリーユーの兄妹もこの配合。つまりは世界レベルということですよね。つい最近、スペシャルウィーク、アグネスデジタルを管理したことで知られる白井寿昭元調教師に、Web用の血統コラム取材をさせてもらったのですが、その題材が新種牡馬。やはりというか、ディープインパクト×ストームキャット配合であるリアルスティールの評価は高かった。黄金配合だけでなく、母系にはミエスクまでいるじゃないですか? それが大きい、と言ってましたね。馬体から受ける印象も、他の新種牡馬よりも好印象だと。
詳しい内容はそのコラムをチェックしていただくとして、この年のエプソムカップは血統の深さや面白さを証明するには適したレースと言えるでしょう。
著者:松浪 大樹