[GⅢ函館スプリントステークス=2022年6月12日(日曜)3歳上、函館競馬場・芝1200メートル]

 今年の高松宮記念で、一番強かった馬は勝ったナランフレグではない? 高速ペースを先行し、粘りに粘る〝ガチ走り〟を見せたキルロード(セン7・田村)が、12日のGⅢ函館スプリントS(3歳上、芝1200メートル)で、隠されてきた全才能を解放する――。

逆流で見せた能力

高松宮記念ではキルロード3着に粘走したキルロード(左から2頭目)

 波乱が続いた今春のGⅠの〝起点〟となったのはこの馬かもしれない。3月の高松宮記念でブービー人気ながら3着に激走。3連単278万馬券というド派手な立ち回りを演じてみせた。田村調教師は「雨でああいう馬場(重)になったのもこの馬に味方したんでしょう」と、恩恵があっての大駆けであることをにおわせるが、数字の上では立派な地力駆けだ。

 3→4ハロン通過ラップ33秒4→44秒4は、同じ重馬場で行われた前2年(20年=34秒2→45秒6、21年=34秒1→45秒6)より格段に速く、良馬場施行だった18年(33秒3→44秒7)より4ハロン通過が速い。勝ち時計=1分08秒3も、18年ファインニードルの1分08秒5より速かった。

 まさに先行馬にとっては〝キルロード〟だったわけだが、そんな息が止まるような流れを前受け3番手で運んでの3着。14、8、3、11、8。掲示板5頭の4角通過順を並べただけで、いかにこの馬が逆流を踏ん張ったのかが分かるだろう。つまり、その走り、〝リアルガチ〟だ。

〝涼〟を求めて

「5月13日にトレセンに帰厩。1週前追い切りではこの馬らしい動きを見せていたし(1日=美浦南ウッド6ハロン83・1―36・8―11・4秒)、順調にきているよ」とGⅠ激走の反動もなく、きっちり仕上がりつつあることを告げる田村師。今月2日には決戦の地、函館に移動し、準備を整えている。

 昨年の6〜7月にパラダイスS→福島テレビオープンとオープンを連勝。一見、暑くなる時季は得意そうに見えるのだが、「暑さは苦手なタイプ」とトレーナー。今回、函館に遠征を決めたのも、〝涼〟を求めてのこともあったという。「美浦である程度つくって涼しい函館に行けば環境としては申し分ない。あとはレースで自分の競馬をしてくれれば」

 今年の高松宮記念で実は最も強い競馬をした馬が、その全貌を見せてくれそうだ。

著者:東スポ競馬編集部