
[GⅢラジオNIKKEI賞=2022年7月3日(日曜)3歳、福島・芝1800メートル]
【渡辺薫&柏木集保 私たちはこう見た】渡辺 近年とは違って久々に良馬場で行われたけど、5ハロン通過が58秒8で1分46秒7の決着。時計的にも内容的にも水準級かなあ。
柏木 取り立てて速いわけでもないし、すごくレベルが低かったわけでもないですからね。毎年、ちょっとハンデが軽くなって見過ごされがちな馬が馬券に絡むという点でも一緒でした。
渡辺 それから、月並みだけど小回り場の開幕馬場。ロスなく運んで内を狙えた馬の好走が目についた。勝ち馬フェーングロッテンは中団内から3〜4角で無理なく射程圏に上昇でき、かつ息を入れられたのがよかった。
柏木 そうですね。変に内から離れようとしないのが奏功しました。この馬の前回はV時計がやや平凡だったけど、相手がいつも一生懸命に走るヴェローナシチーだったので十分に戦える力量と見ていました。
渡辺 加えて、新馬戦でドウデュースの3着だった存在。この日の小倉・国東特別で2着だったガイアフォースがレコード勝ち。勝たれて納得の戦績を持っていた。
柏木 ショウナンマグマは思い切って行ったのが正解。気性的な難しさが何度かネックになってましたが、今回はそんな面も出さずに実力発揮がかないましたから。
渡辺 この馬も葉牡丹賞でボーンディスウェイと0秒1差の実績があるんだよな。その力を福島小回り戦で最大限に生かし切った印象だ。
成長が見られなかったボーンディスウェイ
柏木 そのボーンディスウェイは見せ場なく6着。速い展開、時計を求められる競馬が向いてないんでしょうか。
渡辺 ◎にしておいて言うのも何だが、本当に情けなかった。ちょっと暑さがこたえてるかもしれないが、戦いぶりや馬体面にも成長なし。今後につながる部分がまったくなかった。逆に、つながる中身があったのはサトノヘリオス。
柏木 ええ、馬体減が痛かった印象ですね。体を保てていれば、直線でもっとはじけてたんじゃないでしょうか。
渡辺 上位2頭よりも馬っぷりがいいし、能力的に上位と言える最後の伸び。今後に目を向けるならこれが一番だった。
柏木 ソネットフレーズは結果的に牝馬の54キロが見込まれ過ぎでしたか。
渡辺 上位とは決定的な差だからな。
柏木 巨漢のベジャールはボーン以上に小回りで時計を求められる競馬に向いていなかった。違うコースの走りを見て再評価したい存在です。
渡辺 いずれにしても、秋のGⅠ戦線でどうこう言える存在はいなかった。そんなメンバー構成、中身だったかな。
柏木 同感です。もちろん今後の成長次第ですけど、GⅠよりは来年以降に当地重賞をにぎわす存在になり得る馬がいた可能性の方を強く感じます。
著者:東スポ競馬編集部