[GⅢ七夕賞=2022年7月10日(日曜)3歳上、福島・芝2000メートル]
今週の日曜(10日)には、夏の福島開催を代表する名物重賞・第58回GⅢ七夕賞(芝2000メートル)が行われる。ハンデ戦らしく過去10年で1番人気の連対はわずか3回。逆に7番人気以下の伏兵の連対は7回もあり、高配当が連発している。そこで当欄が目をつけたのはアンティシペイト。重賞では3戦して8→11→11着と振るわないが、前走で“マクリ”という新たな戦法を開眼した今なら大駆けがあっていい。

昨夏の札幌3勝クラス・オホーツクSを勝った後は重賞で3連敗。しかし、リステッドを使った前走・福島民報杯では久々に快勝…。このアンティシペイトの戦歴をなぞる限り、同馬が、重賞では足りない、いわゆる“オープン大将”という判定を下されても仕方ないだろう。
が、しかし。そういった表面的な結果だけを見て評価が下がるのならば、当欄的には“おいしい狙い馬”となる。それというのも重賞3連戦にはいずれも明確な敗因があるからだ。
敗因はいずれも明確
まず重賞初挑戦となった昨秋のアルゼンチン共和国杯(8着)は折り合いを欠いたのが敗因。1コーナーから4コーナーまで終始力み気味で全く息が入らなかった。
それを受けてアメリカJCCではブリンカーを外して折り合い重視で臨んだものの、今度は行きっぷりが悪く後方のままで終了(11着)。
続くダイヤモンドSではブリンカーなし+距離延長でパフォーマンスアップを狙ったものの、見せ場なく11着に沈んだ。
国枝栄調教師は一連の重賞挑戦をこう振り返る。「ブリンカーを着けてからポンポンと3勝クラスを勝ったように、気持ちを乗せる意味でブリンカーは必要。かといって気分良く前に行きすぎると、しまいの脚をなくしてしまうので道中はじっくり運んだ方がいい」
まさにその理想を体現したのが前走の福島民報杯だった。3走ぶりにブリンカーを着けて臨んだものの、前半は前に行かせず後方でじっくり待機。ペースが落ち着いた向正面から一気にポジションを上げてマクリを発動させると、直線では後続を突き放して5馬身差の圧勝を収めた。
「最後まで集中していて、いい競馬だったね。道中は後方で折り合いがついていたし、ブリンカー効果で仕掛けてからの反応も良かった。マクってから最後まで止まらなかったように、スタミナも豊富。アンティシペイトに合った新しい戦法を身につけられたんじゃないかな」
舞台は引き続き福島の2000メートルで、「ここを目標に仕上がりもいい」とトレーナー。後方からマクリ上げる新戦法を武器に、“4度目の正直”で重賞制覇を狙う。
著者:東スポ競馬編集部