2022年の上半期GⅠの戦果はいかがでしたか? 東西本紙の重責を担う舘林勲、松浪大樹の両記者にとっては会心の予想もあれば、後悔しかない予想もあったようで。今回は「3歳牡馬クラシック」を振り返った。

ダービー制覇への指針

ドウデュース(右)はイクイノックス(18)の追撃を振り切りダービー馬に輝いた

 松浪大樹(大スポ本紙)上半期のGⅠを改めて振り返って、下半期の大一番に向けた整理をしておきたい時期を迎えました。余計な前置き抜きに、3歳クラシックから話を進めていきましょう。

 舘林勲(東スポ本紙)3歳牡馬戦線はキャリア2戦で皐月賞に挑む形を取ったイクイノックスとダノンベルーガの絶対能力が上とみていたんだけどな。前者が皐月賞、ダービー連続2着で後者が連続4着。春2冠ではタイトルに手が届かなかった。

 松浪 イクイノックスはチャンスのある馬でしたけど、ダノンベルーガのほうは共同通信杯快勝のインパクトが強過ぎたのか、ちょっと“沸き過ぎ”のように僕は感じてました。皐月賞は無印でダービーは▲。ほぼ予想通りの結果でしたね。

 舘林 トモの関係で右回りがひと息と思われていた馬。それが皐月賞であれだけ走ったからな。左回りに替われば…と思ったんだけど。

 松浪 まあ、いかにもダービーを狙ってます…的なローテーションでしたし、“メイチ”って感じには見えましたから。

 舘林 イクイノックスにも言えることだけど、ダービーを勝つためのローテを取りながら、皐月賞でまともに戦い過ぎてしまった印象もあった。もう少しそろっと戦っておけば、頂点に立てたかもしれないな。

 松浪 いや、それは無理だったでしょう。ダービーに関していえば、ドウデュースが強かった。抜け出してくる脚の速さの違いは誰の目にも明らかでしたよ。

 舘林 まあ、確かにそうなんだけど、トライアルを使わないのが本流となってきている時代に、朝日杯FS(1着)→弥生賞(2着)→皐月賞(3着)という昔ながらの王道ローテが実を結ぶとは思わないだろ。ホープフルSではなく、朝日杯FSを使ったことも重い印を付け切れなかった理由になったかな。

 松浪 外厩の発達で調整レベルが上がってきていることは認めますが、どのローテが正解かではなく、どこの厩舎が選択したローテなのか…のほうがよほど重要なのでは? 同じ弥生賞→皐月賞というローテでマカヒキ、ワグネリアンの2頭をダービー馬にした友道厩舎ですし、僚馬2頭をホープフルSに使う厩舎事情、鞍上(武豊)が伝統ある朝日杯を勝っていない背景も加味すれば、別に不思議な選択でもなかった。先輩が皐月賞で◎にしたジオグリフも朝日杯(5着)を走っていたわけですし、それは理由になりませんよ。

 舘林 確かに(苦笑)。さっきも言ったように皐月賞はどの馬も本気で勝ちにきていると思えないレースだったから、間隙を縫う形で直前2週の動きが抜群だったジオグリフを◎にしたんだけど、これが春一番のクリーンヒットに。余談になるけど、某調教師が「ダービーを勝つためには位置を取りに行けるよう、一度くらいはテンにピリッとさせる距離(マイル)を使っておきたいんだよね」と言っていたのを後から思い出した。結果的に昨年の朝日杯はハイレベルだったし、その経験の差もあったかもしれない。

その成長力に驚き

松浪は早くもアスクビクターモア(左)を菊花賞の本命に指名した

 松浪 この春の牡馬戦線で僕が最も驚いたのはアスクビクターモアの成長ぶりです。ダービー当日に初めて馬を見たんですが、これが自信の◎ドウデュースをしのぐ迫力で…。レース後、田辺に「スゴイいい馬だな」と声をかけたら、「ここにきてムチャクチャ良くなったんだよね」と。気の早い話ですが、現段階での菊花賞の本命馬です(笑い)。

 舘林 中山2000メートル、東京2400メートルと違う条件で上位にきた4頭はハイレベルってことでいいんだろうな。俺も春の結果だけでイクイノックスとダノンベルーガの評価を下げるつもりはないよ。付け加えるなら、お客さんの戻ったダービーを勝った武豊の千両役者ぶりには感激した。まあ、白熱した牡馬クラシックと言えるかな。

著者:東スポ競馬編集部