小山田小学校(小澤新也校長)が先月22日、災害時対応への意識を高めるため、同校職員を対象に事前防災研修を行った。町田青年会議所のサポートにより、講師には東日本大震災で当時小6の次女を亡くした元教諭の佐藤敏郎さんを招き、話を聞いた。

研修は「学校防災アップデート作戦〜命を守る防災管理と防災教育について」と題し、教員や近隣住民、市の職員など、35人が参加した。講師を務めた佐藤さんは震災当時、自身も宮城県女川第一中学校(現・女川中)に勤務しており、石巻市立大川小学校に通っていた次女を亡くしている。大川小は震災で全校児童108人のうち74人と教職員10人が死亡・行方不明となっており、学校管理下で他に類を見ない犠牲者数となり、2014年には遺族が市と県に賠償を求める訴えを起こしている。

佐藤さんは研修で、当時の大川小の災害対応マニュアルについて説明。一部に津波に関する記述が加えられていたが、津波を想定した避難行動や三次避難場所の検討はされていなかった。また、児童引渡しのルール等もあったが、保護者へ周知は行われておらず、仕組みは未完成のままだったという。これを受け、参加者らは佐藤さんとともに、学校現場で大災害に備えて「今やるべきこと」を検証。教職員が「子どもの命を守る」ために、日ごろどのような視点を持つことが大切か、再確認する意義深い機会となった。

参加者からは、「子どもの命を預かる責任を強く感じた」「小山田の場合をより具体的に考えた、避難訓練が必要」などの声があがった。

小澤校長は「身の引き締まる思い。(佐藤さんを)知った時から、職場の人と一緒に聞きたいと考えていた。参加者の意識が変わった手応えがある。改めて、本校でも避難訓練の方法や防災マニュアルの内容について検討したい」と話した。

この研修は、町田青年会議所のまちづくり防災委員会が運営をサポート。同委員会では形骸化する学校防災マニュアルを地域課題と捉え、啓発活動に力を入れている。