タウンニュース社では「ふるさと納税」に関する神奈川県内の自治体の受け止めなどを探るアンケート調査を実施した。その結果、現行のふるさと納税制度について、県内33市町村のうち8割を超える自治体で何らかの改善を希望していることなどが明らかになった。アンケートは昨年12月に県内33自治体を対象にしたもので、すべての自治体から回答があった。

現行制度に対し、改善してほしいかとの問いに「はい」と答えたのは鎌倉市や3政令市を含む27自治体で、81・8%を占めた。背景には納税で寄付を受けた分から税収が減った分や経費を差し引いた収支が、多くの自治体で赤字となっている実態などが影響していると思われる。

制度の改善(複数回答可)を求める27自治体のうち、「返礼品競争などで自治体の応援という本来の趣旨から外れている」が21自治体と最も多く、次いで「寄付金額が安定しない」が4自治体。自由回答では、返礼品に関する「地場産品の基準の明確化」、「経費の見直し」を求める声などがあがった。

さらに、地方交付税の不交付団体である鎌倉市からは「市民税控除による減収分の補填」の要望も。ふるさと納税の制度では、地方交付税の交付団体であれば、控除による住民税流出に対し75%が国から補填される。しかし、鎌倉市のように自治体運営を地方税収入で賄える不交付団体では、その補填がない。

改善してほしい点はないと答えたのは、逗子市、秦野市、箱根町、真鶴町、湯河原町、清川村の6自治体だった。

ふるさと納税が自治体財政に与える影響が大きいと感じているかについて、「はい」が鎌倉市など30自治体で、「どちらでもない」が3自治体。

現行制度の継続については、12自治体が「望む」、5自治体が「望まない」、16自治体が「どちらとも言えない」と答えた。制度の賛否にかかわらず、多くの自治体で地域のPRや産業の活性化について一定の効果があるとしているものの、税収における地域格差の拡大や、それに伴う行政サービス低下を危惧する声も多数を占めた。

鎌倉市、2億円の赤字

ふるさと納税自体の継続は「望む」と回答した鎌倉市だが、収支は2015年から赤字が続いている。直近の数字で見ると、納税受入額が約17億円あるものの、市民税控除額約10・5億円と、返礼品代やポータルサイト掲載費などの必要経費約8・6億円を差し引くと、2億円超の赤字となっている。そのため、制度設計の改善を望む声があがった。

なお、鎌倉市のふるさと納税に対する返礼品で寄付金額・件数が最も多かったのは、鎌倉シャツの商品券だった。