道路交通法の改正により、4月1日から自転車を運転する全ての人に対してヘルメット着用が努力義務化された。努力義務化から1カ月が過ぎ、緑警察署(飯塚宏司署長)の佐藤貴道交通課長は、「命を守るために、ヘルメットは非常に大切」と呼びかける。
これまでは13歳未満の児童や幼児の保護者に対し、子どもが自転車に乗る際にヘルメットを着用させるという努力義務が課せられていた。今回の法改正でその対象が全ての自転車利用者へ拡充。罰則規定はない。
神奈川県警によると、過去5年間で自転車乗車中の事故で亡くなった人の約6割が頭部に致命傷を負っている。また、ヘルメットを着用していなかった人の致死率は、着用していた人に比べて約2・1倍になっているという。「自転車の運転中に何らかの交通違反をして交通事故に遭う人が多い。交通ルールの順守を意識してほしい」と佐藤交通課長は話す。
同署によると、緑署管内で昨年1年間に発生した交通事故は371件。そのうち、自転車が絡む交通事故は74件と全交通事故発生件数の約2割を占めている。今年1月から4月26日まででは既に37件の自転車事故が発生している(概況値)。
緑交通安全協会の鈴木正雄会長は「4月以降着用している人は2割程度といった印象。安全面で必要性を感じていても、髪型を気にする女性や、電車での通勤通学者は持ち歩きが不便などの理由で着用しない人も多いのではないか」と話す。
人気商品は品薄状態
努力義務化により、ヘルメットが一部品薄になり手に入りにくい状況も。中山の自転車販売店「ダイシャリン中山駅前店」では、3月末から4月上旬にかけて、ヘルメットを購入する人が増えたという。同店店長によると、一見普通の帽子のように見えるものやツバ付きの商品が人気で、メーカーでは品薄状態が続いているという。同店では大人用のヘルメットが多く売れており「子ども用に関しては既に購入済みというケースが多いのではないか」と語る。
鴨居と中山で啓発活動
5月は、横浜市を含む九都県市一斉自転車マナーアップ強化月間。緑署は、春の全国交通安全運動(20日まで)の初日となる11日に鴨居駅周辺、18日に中山駅周辺で啓発活動を実施し、ヘルメット着用の努力義務化の周知のほか、交通ルールの順守などを重点的に呼びかける予定だ。