1月〜3月期の概況

全業種総合の業況判断D.I.は▲(マイナス)11・5を示し、前回(22年10月〜12月期)と比べ0・9ポイントの小幅悪化となった。エネルギー価格高騰を背景に製造業で景況感が悪化したが、小売・飲食業、サービス業では、景況感が改善し、20年3月の新型コロナ蔓延以降の調査で2番目に良い数値となった。賃金引き上げに関する特別調査では、約4割の企業が「賃金を引き上げる」と回答、約3割の企業が「引き上げ予定はない」と回答している。

4月〜6月期の見通し

来期予想は0・3ポイント小幅改善の▲11・2。売上額D.I.、収益D.I.も共に改善の予想となっている。

製造業

製造業の業況判断D.I.は前回調査から15・8ポイントの悪化の2・3。売上額、収益ともに大幅悪化した。

前回調査と比べ、受注の回復状況が一服したことから売上額D.I.の悪化となるも、営業活動の成果で新規顧客獲得につながった企業がみられた。収益悪化の要因については、エネルギー価格高騰分の価格転嫁が追い付いていない状況が見受けられる。来期の予想業況判断は5・8ポイント悪化の▲3・5。

卸売業

業況判断D.I.は前回調査比7・9ポイント改善の▲14・3。食品卸売業では、主要取引先の業況回復で受注量が増加、仕入価格高騰でも販売価格への転嫁を進めたことで収益の改善が図られた。一方、建材卸売業では建設資材の高騰が続き、低価格な企業へ顧客が流れた他、若手従業員の定着率向上に向けた労働条件などの改善を図る企業が見受けられた。来期予想は7・2ポイント悪化の▲21・5。

小売・飲食業

業況判断D.I.は前回調査比から5・5ポイント改善の▲26・7。新型コロナの影響が和らぎ夜間の小規模宴会等団体客の利用状況が改善、秦野市・伊勢原市では行政による需要喚起策の効果で、客単価上昇や新規顧客の来店へとつながった企業がみられた。しかし、食用油や卵などの仕入れ価格高騰・水道光熱費等の値上げによる収益環境の悪化は依然続き、コスト上昇分に価格転嫁が追い付いていない状況がある。来期の業況判断予想は1・6ポイント小幅悪化の▲28・3。

サービス業

サービス業の業況判断D.I.は前回調査比20・0ポイント改善の▲19・6となった。

運送業では、燃料費高騰による輸送コスト上昇に伴う価格転嫁が進んでおらず、配送ルートの見直しなどに努める企業がみられる。理美容業では、値上げによる顧客離れの恐れから、エネルギー価格の高騰分を提供価格へ転嫁できず、経営戦略の見直しを図る企業が見受けられた。来期予想は5・9ポイント悪化の▲25・5。

建設業

建設業の業況判断D.I.は前回調査比1・3ポイント小幅悪化の▲6・2。収益D.I.は8・3ポイント改善の▲7・8となった。住宅関連の宅地造成工事に加え、首都圏エリアにおいてインフラ整備工事やビル建設などの動きが活発化したことで受注状況が改善。原材料価格高騰に対する価格転嫁への動きが強まり、収益D.I.が改善した。人手不足は厳しい状況が続き、賃上げや労働条件の改善に取り組む企業がみられる。

来期の業況判断予想は14・1ポイント改善の7・9。

不動産業

業況判断D.I.は前回調査比10・0ポイント悪化の▲16・1。売上額D.I.は8・9ポイント改善、収益D.I.は18・2ポイント改善した。調査エリア内での不動産需要は依然と強く、販売状況は好調なものの、商品仕入では需要が供給を上回る状態が続き、仕入価格が高騰。在庫商品不足による販売機会損失が生じている。

来期の予想業況判断は9・7ポイント改善の▲6・4。

■調査時期/2023年3月上旬

■調査地域/秦野市、伊勢原市、平塚市、厚木市、開成町

■調査企業数/340社

■回答企業数/324社

※D.I.値とは、ディフュージョン・インデックス(DiffusionIndex)の略で、「良い」「やや良い」と回答した企業の割合から、「悪い」「やや悪い」と回答した企業の割合を引いた値。値が小さいほど業況判断は悪いということを表す。