鎌倉市は5月26日に定例記者会見を開き、6月6日開会の6月市議会に市役所本庁舎移転に関する「位置条例改正案」を再提出しないことを明らかにした。市役所の位置を深沢地区へ変更する位置条例改正案は、市が昨年12月議会に初めて提出したものの、否決。6月議会への再提出を模索していたが、松尾崇市長は「現時点で可決に至るだけの環境が整っていないと判断した」と提出を見送った。

市役所の深沢地区移転を巡っては、「鎌倉市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例」が、市議会で可決される必要がある。

市は、市役所所在地を現在の「御成町18番10号」から移転予定地「寺分字陣出8番8」へ変更する改正案を昨年12月議会に提出。位置条例は特別多数議決案件に該当し、出席議員の3分の2以上の同意を必要とする中、出席者26人(議長含む)のうち賛成16票、反対10票で可決には2票足りなかった。

条例改正案に対し反対議員からは、まちづくりの視点が定まっていないことや、公共交通の整備、予算の先行きが不透明な点が指摘された。

市長「早ければ9月議会目指す」

12月議会の採決を受け、市は6月議会以降の条例案再提出に向けて計画の検討を進めてきたが、6月での提出は見送った。

会見で松尾市長は、「(12月議会の)さまざまなご意見を踏まえて、この間に市民対話なども進めてきた。しかし現時点では、十分に可決に至るだけの環境が整っていないと判断した」。再提出の時期については、「早ければ9月議会を目指したい」とした。

市は、深沢地区での新庁舎の供用開始を2028年度に予定し、跡地となる現庁舎の利活用も本庁舎移転後の29年度以降を目指している。