大地震に備えるためには、地勢を踏まえたリスクを知ることが重要だ。相模湾に面する南部、丘陵地帯が続く西部、相模川や金目川などの河川流域など、地域によって異なるリスクについて、市災害対策課に聞いた。

住戸の浸水

平塚市が作成した津波ハザードマップによると、国道134号以南では最大で10mの浸水被害が想定されている。134号を境に浸水深は低くなるものの、注意したいのが唐ケ原や撫子原など花水川河口の地域だ。

他の沿岸居住地が最大2m程度の浸水想定なのに対し、両地域の一部は最大5mと想定。関東大震災クラスの地震による津波浸水想定でも、両地域の多くが浸水エリアに該当している。

発生6分で最大津波

ハザードマップでは地震発生から6分後に最大9・6mの津波が到達すると予測しており、同課は「相模湾で発生する津波は到達時間が短く、東日本大震災のように引き潮が起きることなく津波が押し寄せる。大きい揺れを感じたらすぐに逃げることが大切」と話す。

「逃げ道」把握を

津波から避難する際はできる限り高く、遠くへ逃げることが鉄則だが、「撫子原地域の場合、北上することでより浸水想定が深い場所に行ってしまう場所もある。闇雲に北側へ逃げるのではなく、地域の地形を把握した上で逃げるルートを考える必要がある」(同課)という。津波対策としては、自宅から最寄りの「津波避難ビル」の場所を確認しておくことも有効だ。

液状化は

関東大震災では、市北部や古花水橋付近など市内の広い範囲で液状化が発生している。

河川の流路に沿って形成された自然堤防などの地形は、軟弱地盤が厚いことから液状化のリスクが高い。津波ハザードマップ裏面の建物被害予測マップには、大正関東地震以前の地震で液状化が起きた地点が記載され、金目川沿いをはじめ相模川流域や神田地区などで液状化が確認されたことが分かる。

土砂災害の備え

市西部の丘陵地は津波や液状化といったリスクはないものの、土砂災害への備えが必要だ。同様に岡崎や城所の一部地域でも土砂災害のリスクが存在する。

「北海道の胆振東部地震(2018年)や熊本地震(16年)でも大きな土砂災害が発生した。崖地の近くではリスクが高いことから、土砂災害ハザードマップを活用し、災害発生時には危険な場所には近づかないよう心掛けてほしい」と同課は呼び掛けている。

「頭上」に注意

平塚駅北口の中心街には築年数の古い商店も多く、大地震発生時は建物の倒壊被害が懸念される。加えて注意したいのが、屋外看板などの落下被害だ。

同課では商店街での買い物客などに対し、地震により頭上の看板などが落ちてくる危険性を呼び掛けているという。大地震が発生した際、自身がどこにいるかで取るべき行動は大きく変わってくる。様々な場面を想定し、日頃の備えを心掛けたい。