全国の自治体に先駆けて、日本語に特化した国産の生成AIを導入――。相模原市は10月16日、国産生成AIの活用に向けて、日本電気株式会社(NEC)と協定を締結し、共同検証を開始することを発表した。国産生成AIを活用する自治体は全国初で、今月から本格導入される見通し。

米国のOpenAI社が開発した「チャットGPT」をはじめとする生成AIは、人工知能を使ったチャット(会話)のシステム。対話や文章作成、要約などに活用でき、全国の自治体でも導入が進められている。

専門用語に対応

相模原市では今年6月、業務にチャットGPTを導入して独自に実証実験を進めてきた。

市の中間報告では、利用した職員の82%が「業務へ活用できる」と回答。一方で米国製のチャットGPTは日本語の割合が少なく、行政用語などの専門性の高い言葉については対応ができないといった課題も見つかっていた。

今回導入するのは、NECが今年7月に開発した国産生成AI。日本語や専門用語への対応が期待でき、庁内ネットワークから利用することで個人情報や機密情報などの情報漏えい対策も可能となる見込みだという。市はこの共同検証を通じて、行政事務における生成AI活用の実現を目指す。

10月19日に市役所で行われた協定締結式には、同社の田中繁広執行役、本村賢太郎市長が出席したほか、自民党デジタル社会推進本部最高顧問の甘利明衆議院議員も同席した。

本村市長は「国産生成AIを活用することで、日本語独特の言語や文化への対応などこれまで解消できなかった課題の解決につながるのではないかと期待している。文書作成や要約、アイデア出しなどに役立てたい。今後さまざまな自治体の課題を解決することにもつながるのではないか」と期待する。

田中執行役は「日本が独自に生成AIの技術を持つことは価値あること。生成AIは日々の生活の中で使われることに意味がある。AIの力を借りて、より良い行政、より良い社会の実現に貢献していく」と展望を語った。

市は今後、同社と連携し、自治体行政分野に特化した生成AIの実現可能性の検証や、自治体に適した安全で利便性の高い生成AIの利用環境構築に向けた検討を進めていくとしている。