古い写真に登場しそうなレトロ自転車を、厚木市三田で金属加工業を営む長(おさ)裕さん(65)がこのほど復刻させた。大きな前輪で悠々と進む姿は通行人の目線を釘付けにしている。乗る時には後ろにあるステップをのぼり、降りる時も同様だ。1800年代後半に誕生し、欧米ではペニーファーシングと呼ばれていた。

長さんは定年後に自転車にのめり込み、オフロードやヒルクライムの大会に出場。カーボン製など最新モデルの自転車だけでなく鉄製の自転車を試したところ、フレームがバネのようにしなる乗り心地に感動。古い自転車を乗り比べるうちに、1年ほど前に骨董品店で古い車体を入手した。元々バイクのフレームなどを自作していた腕もあり、復刻を決意。資料館などを訪ねて研究を重ねた。

車輪は空気チューブが誕生する前の仕様でゴムひものよう。車輪が大きいせいか乗り心地はソフト。一方で、坂道はチェーンやギヤのある現代の自転車よりもきつい。特長は何と言っても目線の高さ。「普段の景色が違って見える。こんなに楽しい乗り物はありませんよ」。時には鎌倉や小田原まで走り、通行人から撮影したいというリクエストが多い。海外で開かれるレトロ自転車のレースに出るのが夢。今は2台目の製作に取り掛かっている。