ソフトウェア開発の手法として有名な「アジャイル」を大企業に応用し、変革スピードを高める方法についてまとめた『AX(アジャイル・トランスフォーメーション)戦略』が翻訳出版された。
日本企業の現場力を飛躍させ、競争力を高めるために、アジャイルを正しく導入するには何が必要か。本書の監訳・解説者がその秘訣をまとめた。今回はその前編をお届けする。

組織の変化対応スピードが遅くなる理由

「ディスラプション」

「イノベーション」

「スピーディな変革」

こうした言葉があらゆる企業で声高に叫ばれ、さまざまな取り組みが行われている。また多くの日本の企業で大事にされてきた理念に「顧客主義」があり、それはこれらの取り組みの大元となるものだ。

振り返って、みなさんの職場の現実はどうだろうか。私たちが見るところ、経営方針としての「向かう方向」「やるべきこと」は正しいが、実際の現場は「動かない」「やり方が変わらない」「本当に顧客のためになっているか」といった課題を抱え、経営方針と日々起こっていることの乖離に深く悩むことが頻出しているのではないだろうか。

なぜそうした乖離が生じるのか。その根底に「消費者・顧客と企業の変化のスピードの差」と「内向き志向」がある。

変化のスピードという点では、消費者・顧客が最も速い。企業においてはどうか。消費者・顧客に日々接している現場と、危機感を持って経営の舵取りをするトップマネジメントは変化に敏感だ。