部下を叱るのも、上司の大事な仕事です。しかし、叱られた相手が納得し、改善してくれるかどうかは、叱り方によって大きく変わってきます。『人もチームもすぐ動く ANAの教え方』の著者であるANAビジネスソリューションに、人望を集める上司が実践している叱り方について聞きました。

子どもでも大人でも、叱られるのは嫌なものです。ましてや毎日顔を合わせる先輩・後輩の間柄であれば、叱った側も叱られた側も、翌日は会社に行くのがおっくうになるでしょう。でもだからといって、単に叱ることを避けていると、人は育ちません。

ANAの先輩たちは「叱る」ことを、後輩を育成するときの、ひとつの手段ととらえています。40年以上整備部門に在籍し、ANAビジネスソリューションでヒューマンエラー対策講師も務める宮崎志郎は、自分が管理職として後輩を育成するなかで、そして研修などで他社の人たちにも教える立場になって、あらためて「叱る」と「怒る」との違いを考えるようになりました。そして導いた結論が、次のようなものです。

叱る:相手のことを考えたときに出る行動。つまり手段

怒る:自分が思いどおりにならないときに噴出する感情。つまり結果

「簡単に言うと、相手の成長を考えて『叱る』、他人が自分の思いどおりに動かないときに『怒る』」と宮崎は言います。

叱る「基準」を決めておく

何を叱って、何を叱らないか。チームを引っ張る立場の人にとって、これは大きな問題です。

たとえば遅刻した人を叱る場合。1分遅れたら注意するのか、それとも5分なのか、1回の遅刻で叱るのか、2日連続だったらどうか……。叱る「基準」を決めておかないと、場面場面で迷うことになります。これは大きな負担です。

当然、基準がなければ、相手からも信頼されません。その場の感情や好き嫌いで叱ってしまったら、後輩は「フェアでない」と感じてしまうでしょう。