ビジネス誌の特集や新刊書籍で、「会計」をテーマにした出版物が話題になっている。経営者や経理担当だけでなく、一般社員も会計の知識を得てそれを使いこなすことが必須という風潮だ。

「大人になってからでは遅すぎる。子どものうちから会計の視点は大事だ」と説くのは、『年収1000万円「稼げる子」の育て方』の著者、林總氏。なぜ、子育てに会計の視点が必要なのか。どうやって子どもに授けるのか。林氏が解説する。

会計を学ぶと「視野」が変わる

そもそも管理会計とは何か。管理会計は、「マネジメントアカウンティング」の和訳で、経営者が適切な経営判断をするための会計のことです。管理とは目標を設定し、統制すること。会計とは、活動を貨幣価値に置き換え、見えないものを見えるようにするツールです。

会計を学んだ人とそうでない人のいちばんの違いは何でしょうか。それは、判断力です。なぜなら、会計を学ぶと、

・長期的に見ることができる(人より長い時間軸を持つ)
・俯瞰(ふかん)できる(より広い視点で現状把握できる)

という「会計の眼鏡」を手に入れられます。この「よく見える眼鏡」で物事をとらえ、そのうえで判断を下すため、精度の高い判断になります。

「会計の視点による精度の高い判断力」の一例を挙げましょう。20世紀の初め、アメリカのゼネラルモーターズ(GM)が、過大投資による倒産の危機に直面したとき、社長に就任したアルフレッド・スローンは巨大な会社をシボレー、ビュイック、オールズモビル、オークランド、キャデラックの事業部に分け、それぞれが企業内企業して独立性を保ちながら業績を追求し、最終的には社長がすべてを統制する組織を作り上げました。

ここで用いられたのが、投資したおカネでいくら利益を上げたかを示すROI(投下資本利益率)という経営指標を使った会計手法でした。

ROIとは「利益÷投資金額×100」という式で割り出します。

会社経営で大切なことは、どれだけ投資して利益を稼いだかということです。たとえば、キャデラック部門という高級車を作る事業と、シボレー部門という大衆車を作る事業を比較する場合、生産台数や従業員数ではどちらが儲かっているかはわかりません。