社内決裁の会議や、部内でのレクチャー、上司への報告、顧客との交渉・営業――「プレゼンテーション」をする場面は意外と多くありますが、なかなかうまくいかないことがあるでしょう。

共通しているのは、「資料やスライドを棒読みしている」人は、人を動かすことはできないということ。では、どんな準備をして、何を話せばよいのでしょうか。

新刊『世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられているプレゼンの基本』の著者であり、GE(ゼネラル・エレクトリック)の“世界最高のリーダー育成機関”と呼ばれる研修機関・クロトンビルで教鞭を執ってきた田口力氏が解説します。

ウォールストリート・ジャーナルが過去に行った調査で「ひどいパワーポイントによるプレゼンで、1日当たり2億5200万ドル分の時間がムダになっている」と報じられています。

その原因のひとつは、「パワーポイントに過度に依存したプレゼンが多くなっていること」、別の言い方をすれば、「プレゼンのスライドや資料が、大量の文字・データ・装飾で複雑になっていること」でしょう。

プレゼンターはたいてい、そのスライド・資料に小さな文字で書き込まれた文章を、ただ読み上げているだけです。

みなさんもそんなプレゼンを聞いたことがあるかもしれません。紙の資料やスライドに箇条書きになった“ビジョン”をただ読み上げるトップ、あるいはプロジェクトの概要を棒読みするリーダー。彼らは、経営企画部のスタッフや部下が書いたシナリオに沿って、淡々と「他人が書いた文章」を読み上げているにすぎません。

あなたはそのような人に対して、心から信頼を寄せ、粉骨砕身働こうと思うでしょうか。文字だらけのプレゼンスライドを読み上げるだけでは人を動かすことはできないのです。

ストーリーを聞くと「心と脳」が動く

30年以上にわたり国内外の経営トップリーダーたちの教育にかかわってきて、実感することがあります。それは、「優れたリーダー(ビジネスパーソン)は、ストーリーで人を動かしている」ということです。

そのようなリーダーがいる会社はたいてい、全階層の社員がやる気に満ちあふれ、活気にあふれています。それは、経営トップやリーダーたちが、自分が率いる組織の目的(ミッション=使命)を繰り返し部下たちに語り続けているからですが、その目的について語るとき、「ストーリーとして伝える」ということを実践しているのです。