今回は新卒採用の変化を検証したい。2020年の正月にコロナ禍の蔓延を予測する人はいなかった。しかし春の到来とともに災厄は大きくなり、3月以降の新卒採用は大きくブレーキがかかって、企業・学生・大学のいずれも未曾有の経験をした。現在は心理的な深刻さはやや和らいでいるが、依然として感染者数は多くコロナ禍は続いている。

これから新卒採用はどのように変化するのか。2021年卒は緊急避難的にオンライン対応したが、2022年卒では戦略的にコロナ禍を前提とする必要がある。企業人事部門はどのように考えているのか。HR総研の「2021年卒&2022年卒採用動向に関する調査」(2020年6月26日〜7月2日実施)から、2022年卒採用に関する項目を紹介したい。

「6月選考開始」はどうなるか

新卒採用について、「大学3年の3月に説明会などの広報活動、4年の6月に面接などの選考活動を解禁する」というルールがあるが、政府は2022年卒だけでなく2024年卒まで続ける方針だ。

このルールは経団連が主導して2010年代後半に定着している。時期についての見解は人によってさまざまで、現在の採用スケジュールに異論を述べる識者もいる。人事担当者の中にも一家言を持つ人がいる。特に多い指摘は、このルールが守られていないことだ。「誰も採用ルールを守らない」という実態がある。

ただ、「3月採用広報開始、6月採用選考開始」が無意味かというとそうではない。採用実務でも学生の就活でも、このルールは定着した採用スケジュールとして認知されている。

今回の調査では、面接開始と内定開始の時期を聞いたが、「ほぼ変わらない」とする意見が面接開始で71%、内定開始で67%を占めている。ただし、少し丁寧に見ると、面接開始でも内定開始でも「早まる」とする企業が増えている。数字を挙げると、面接開始で「1カ月以上早くなる」(11%)、「1カ月程度早くなる」(5%)、「2週間程度早くなる」(4%)と2割に達する。一方、「遅くなる」とする声は「2週間程度遅くなる」(1%)、「1カ月程度遅くなる」(2%)、「1カ月以上遅くなる」(3%)と計6%にとどまる。