日本の教員の授業時間は世界一短いが、労働時間は世界一長いとされる(OECD調査)。その原因は、教壇に立つ以外の業務負担が極めて過大だからだ。また、教員同士の人間関係のストレスや新型コロナの対応などで、心身ともに限界の教員が増加し、かつての聖職は今や「ブラック化」している。教育ジャーナリストの朝比奈なを氏の著書『教員という仕事 なぜブラック化したのか』より、知られざる「職員室」の現状を3回にわたり紹介する。

教員は本当に忙しい

2016年に文科省が実施した公立小中学校教員の「教員勤務実態調査」の結果は社会に大きな衝撃を与えた。

中でも最も注目されたのは、過労死ラインを超える週20時間以上の残業をしている教員は小学校教諭で33.5%、中学校教諭で57.6%に上るという事実だった。この調査では自宅に持ち帰って仕事をする時間は含まれておらず、それを加えれば残業時間はもっと多いと推察できる。

だが、教員の多忙さはこの時期に始まったものではない。先の調査は2006年の調査結果を参照し発展的に行われている。2006年の調査とは、文科省の委託を受けて東京大学とベネッセ教育総合研究所が行った「教員勤務実態調査(小中学校)」であり、ここでは7月31日から8月27日の約1カ月を除く勤務日において、小学校教諭で1日1時間30分から2時間程度、中学校教諭は2時間10分から30分残業していることが判明した。文科省は月に50時間近くにも及ぶ残業時間に危機感を持ち改善に取り組み始めたとされている。

しかしながら、2016年の調査では、学校種、職階の違いを問わず、平日、土日ともに勤務時間は長くなっており、10年間の業務改善の試みは全く功を奏していない。