野球やサッカーといったメジャースポーツでは、戦略立案やトレーニング、選手の評価に人工知能(AI)や種々の統計を利用することが当たり前になっている。では、これらのテクノロジーは、マイナースポーツではどの程度活用されているのだろうか。夢の実現や社会の改革に向けて地道な努力を重ねる研究者たちを紹介する「ニッポンのすごい研究者」。第2回は人気スポーツになったカーリングを軸にAI研究に取り組む、北海道大学大学院情報科学研究院の山本雅人教授を訪ねた。

第1回:「他人と体をシェア」36歳早大准教授の凄い研究

山本雅人教授は北大大学院で「情報理工学部門・複合情報工学分野」に所属し、「自律系工学研究室」を設けている。

といっても、わかりにくいかもしれない。AIの技術をカーリングの戦略に適用する研究や技術開発を続けていると聞けば、親しみも湧くのではないか。

山本氏は2020年春、アメリカの人工知能学会に参加し、「スポーツとテクノロジーの融合には、世界のあらゆる選手、チームが手をつけ始めている。技術の導入に躊躇する選手やチームは取り残されていく」と感じたという。

カーリングは後攻が圧倒的に有利

まずは、その山本氏から出題された以下の問題を見てみよう。

答えがわかりますか?(山本雅人氏提供)

カーリングは、4人1組のチームが先攻後攻に分かれ、1エンドにそれぞれのチームが1人ずつ交互にそれぞれ2投、計16のストーンを投げ合う。

最終的に直径約3.66メートルのハウス(円)の中心に最も近いところにストーンを残したチームが、相手より内側にあるストーンの数だけ得点を総取りする。先攻は、最初のエンドはDSC(ドローショットコンテスト)で決める。2エンドからは前のエンドで得点したチームが先攻となる。

カーリングは、後攻が圧倒的に有利なゲームでもある。ストーンを狙い通りに投げるショットの正確性とともに、点差や残りのエンド数を考慮しながら、後攻を取るためににあえて得点を放棄したり、ギャンブル・ショットでスチール(先攻が得点すること)を狙ったりする。戦略が非常に重要で、「氷上のチェス」と言われる理由だ。

上の問題では、日本の勝率はどのくらいだと考えられるだろうか。残り2エンドながら点差はわずかに1点。第9エンドは日本の先攻だ。パッと見では「接戦」とも表現したくなる展開だろう。では、答えは?