資源の少ない日本においては「人材」こそが、最大・最強の資源になる。企業の発展のためには不可欠だけど、不足している「人材」にフォーカスし、日本の若手人材を知り尽くす筆者が、ポストコロナ時代の人づくり最前線を追う連載第3回。

今回は、これまで日本企業においてなじみの薄かった「ジョブ型雇用」に関する考え方、適応ポイントを解説していきたい。

なぜ、「ジョブ型雇用」が今注目されているのか

藤田亮士さん(40代、仮名)は、世界的に有名なメーカーに勤務するビジネスパーソンだ。

性格的にまじめで、上司や会社から与えられたミッションは着実に実行し、成果を上げ、同期よりも早く昇進し、2020年には管理職に抜擢された。そんなある日、藤田さんは上司との面談で、このように言われた。

「わが社が2020年からジョブ型雇用制度を採用したことは藤田くんも知っているね。そこで藤田くんの考えを教えてほしい」

上司から投げかけられた質問の内容は次の3つ。

① これからどんなキャリアを歩んでいきたいのか?
② 次にどんな仕事をしたいのか?
③ あなたの専門性は何か? どの専門性をさらに磨いていきたいのか?

藤田さんにとっては思いがけない問いだった。これまでの面談といえば、次のキャリアや配属場所、新たなミッションを一方的に言い渡される場で、社会人生活の中で、個人の意志を上司から問われたことなどなかったからだ。藤田さんは途方に暮れてしまった。

最近、「ジョブ型雇用」という言葉を耳にする機会が増えた。「ジョブ型」は、欧米で多く採用されている働き方で、会社にとって必要な職務を定義して、それに見合う能力・経験を有する社員を配置する仕組み。難易度や責任の大きさを見極め、それに応じた給与水準の目安を決め、最適な人材を配置する。