成功している人の共通点は、自らの弱みの克服に時間を使うのではなく、強みを伸ばすために努力していること。しかし、多くの人が自分の本当の才能に気づいていないのが現実。だからこそ、まず取り組みたいのは、自己認識の精度を高めることです。

アメリカ・ギャラップ社認定ストレングスコーチ(R)として活動する瀬戸和信氏は、MicrosoftやFitbitなど数々の外資系企業でマーケターとしてステップアップを続け、マネジメントにおいてもこの実践を続けてきています。その考え方と方法をまとめた著書『「自分」を殺すな、武器にしろ』から一部を抜粋・再構成して紹介します。

9割の人が「自分」を知らない

アメリカの心理学者ターシャ・ユーリック氏は、自己認識に関する長年にわたる研究を通して、「95%の人は自己認識ができていると思っているが、実際には10%〜15%の人しか正しい自己認識をしていない」という驚きの統計を明らかにしています(Tasha Eurich·TED×MileHigh “Increase your self-awareness with one simple fix” 著者訳)。

つまり、約9割の人が、自分自身に対して客観的な視点を持てていないのです。

そして最も「大人」が陥りがちな錯覚、「年齢と自己認識は正比例する」は迷信です。まだまだ若造の僕が言うのもなんですが、むしろ年齢を重ねれば重ねるほど、自分の外にある情報や選択肢は増え、自分が蓄積してきた体験や経験の多様性にも気づき、自己認識に揺れが生じてくるものです。

例えば、経験豊富なマネジャーほど、自分に対するリーダーシップ能力の評価が甘いことを示す研究結果があります。役職が高いほど自分の技量を過大評価する傾向があることを示唆したデータもあります(「ハーバード・ビジネス・レビュー」内「HBR.org 翻訳リーダーシップ記事」ターシャ・ユーリック「リーダーに不可欠な『自己認識力』を高める3つの視点」)。年齢や経験が、正しい自己把握の足かせになっていると考えられるのです。

また、僕のワークショップに参加した方々の話を聞いていると、必要以上に自己評価が低い方が多くいます。自分の弱みばかりに目を向けてしまうのは、日本人に多い特徴だと僕は感じます。

日米両国で暮らした経験のある知人の話では、日本では「できないことを頑張ってできるようになりましょう」と教育される一方、アメリカでは「あなたはここができているから、頑張って伸ばしましょう」とフィードバックされる。教育現場でも、家庭でも、日本は弱みを克服することを重視する、と。

海外の人たちと仕事をする機会の多い僕は、これは、とてももったいない状況だと憂慮しています。今こそ、「控えめな」日本の人たちも、本当の自分を知ることを始めてほしいのです。なぜなら、強みを持っていない人はいないからです。