2020年、小学校でのプログラミング教育が必修化されました。元グーグル米国本社副社長兼日本法人社長の村上憲郎氏は、「文字通り小学校でプログラミングの基礎を学ぶということではなく、プログラミング的な考え方を身につけるためのもの」で、「これからの人材が身につけるべき基礎教養である」と言います。教養としてのプログラミングとはどういうことか、新著『クオンタム思考 テクノロジーとビジネスの未来に先回りする新しい思考法』より、一部抜粋・再構成してお届けします。

「ネットのない環境」は「文房具のない勉強机」

小学校におけるプログラミング教育の必修化の前提として、義務教育段階への導入が検討され進みつつある、「ICTを利活用した教育」について、ここでは言及します。ICTとは、言わずもがなのことでありますが、「Information and Communication Technology(=情報通信技術)」のことです。

ICTを活用した教育とはつまり、平たくいえば、コンピュータとインターネットを利活用した教育を、小中学校で実施しようというわけです。

2019年の12月に日本政府は、「GIGAスクール構想」を進めることを決定しました。

GIGAとは、Global and Innovation Gateway for Allのことです。いわば、義務教育の生徒全員にとって、グローバルと技術革新に至る登竜門となる教育機会を提供しようというのが、「GIGAスクール構想」です。

具体的には、「2020年度予算を使って、義務教育課程の全ての生徒にPCを配布する。全国の小中学校の全教室に、インターネットにつながったWi-Fi設備を設置する」というものです。

ここでPCというのは、「アップルのiOS、グーグルのChrome OS、マイクロソフトのWindows OSのどれかがOSとして採用されていればいい」ということだけが指定され、機種の選択は、全国に1700ある区(東京都)・市・町・村の各教育委員会に任されました。

さて、家庭の経済状況を勘案した際、さらに課題となるのは、各家庭のブロードバンド環境の格差でしょうか。後に説明する「反転学習」を成功させるためには、家庭での学習が重要な条件となるからです。

ICTを利活用した教育を達成するには、生徒に配布されたPCが、家庭からでも十分な帯域を持ったブロードバンドで、インターネットに接続されなければなりません。つまり、各家庭のブロードバンド環境の格差を放置してはならないのです。