言葉の使い方を変えることで、自分が率いる潜水艦の評価を最低から最高に引き上げ、ベストセラー『7つの習慣』の著者、コヴィー博士から絶賛された伝説の艦長がこのほど、『LEADER’S LANGUAGE(リーダーズ・ランゲージ) 言葉遣いこそ最強の武器』を上梓した。
あらゆる組織のリーダーに役立つ、伝え方のパラダイム転換を促す本書から、責任感ゆえの暴走を食い止める知恵を、抜粋・編集して紹介する。

責任感が過熱しすぎて起きること

上司が命令し、部下が従う。この「強要」の構図では、服従しか生まれない。強要というプレーは、産業革命期の古いプレーだ。

一人で繰り返し行う単純な肉体労働ならば、それも機能したかもしれないが、チームで認知能力を使って対処にあたる複雑な作業では、服従ではなく、責任感を持った取り組み、すなわち自発的な努力が欠かせない。

ただ、責任感を持った取り組みは重要だが、一方で、「責任感の過熱」という現象に対して自衛する必要がある。一度生まれた責任感は、ひとりでに増強する傾向があるからだ。

人は小さな一歩を踏み出す決意をすると、その方向に進み続けようとする。次の一歩を踏み出すべきかどうかを評価し思考する仕事=青ワークを行っても、その時間を十分に生かせない。事前の決断が正しいことを裏づける情報だけを選り好みするからだ。

なぜそんなことになるのか?

その答えは、「責任感の過熱」という心理現象に起因する。これは、一度こうすると決めたことを、それが失敗だと裏づける証拠を突きつけられても頑なにやり通すことを意味する。

投資家が損を出しているのになかなか手を引こうとしないのも、企業が失敗した製品に投資し続けるのも、政府が失敗した政策から手を引かないのも、すべてこの現象の表れだ。

●成功の定義を書き換えてまで正当化する

責任感の過熱に陥った人は、失敗に終わった自らの決断を、事実を前にして成功の定義を改めることで正当化しようとする。

順を追って説明しよう。まず、何かに関する決断を迫られて決断を下す。これにより、その決断が招く結果に対して責任を感じるようになるが、思ったとおりにものごとが進まない。そして、自分の決断が間違いだった証拠が積み上がっていく。

この場合の合理的な行動は、立ち止まって決断の内容を再評価したうえで、方針転換することだ。だが、そうする人は少ない。人間は、失敗を取り戻して勝者になろうとする生き物なのだ。