「日本人従業員の平均年収は433万円です」

そう聞くだけでムカっとする方が多いのではないでしょうか?

この数字は別にうそでも何でもなく、国税庁が毎年9月に発表する民間給与実態統計調査の最新数字です。

アベノミクスで企業は儲かり株価も上がった一方で、実質賃金はぜんぜん増えていないという話があります。同時に格差が拡大したことで裕福な社会人と、生活が不安定な社会人の間にも収入ギャップが開いています。

そこで今回は平均値で見ていてもわからない日本人ビジネスパーソンの所得事情を、国税庁の民間給与実態統計調査を細かくみることで解明していきます。

まずは発表されたばかりの令和2(2020)年度版の統計の概容からわかることから見ていきましょう。この調査は2020年12月31日現在の民間企業に働く会社員の給与をまとめたものですから、コロナ禍の実態をしっかりと表しているはずです。

まず目につく数字ですがコロナ前の2019年12月と比べて給与所得者数が62万人も減少しています。このうち1年を通じて勤務した人の減少は10万人しかないので、コロナ禍において単純計算でみると52万人規模で非正規労働者が職を失ったことがわかります。

会社員1人当たり21万円の減収

2020年の給与の総額は前の年から5.4%減りました。減った総額は約12兆4000億円です。もっとわかりやすくいえば会社員1人当たり21万円の減収です。1人10万円の特別給付金がもらえたわりには損をしているような気がしていましたが、やはり減った金額のほうが大きかったようです。

ただ統計上、過去3年間は名目給与として毎年9万円ぐらい上がっていて、コロナ禍で久しぶりに21万円ダウンした計算なので、トータルでみると上がったほうが大きいことになります。それって実感と合わないと思う方も多いのではないでしょうか?

庶民の実感とは何かといえば、若い会社員は安い給料で働かされている気がするし、中年の会社員は昔と比べて給与の上昇が抑えられている気がするし、高齢の会社員はつねに首切りの恐怖を感じている気がするという具合で、それぞれの世代にそれぞれの不満が見られます。

実際はどうなのでしょうか?

幸いにして民間給与実態統計調査は1978年まで年代別の統計をさかのぼることができます。そこで日本人の給料に関するさまざまな都市伝説を解明してみたいと思います。