英語をマスターするためには、日本語との違いを意識しながら学習すると理解が進みます。では、具体的にはどう違うのか。高度経済成長期に、アメリカ国務省で日本語通訳として働いた経験を持つ長部三郎氏の著書『伝わる英語表現法』から一部抜粋・再構成して、前後編にわたって解説します。今回は前編です。

地形は「rivers and mountains」に言い換える

英語が日本語と大きく違う点を3つあげることができます。それは英語が「具体的」「説明的」「構造的」であることです。そして日本語は、そのいずれの点でも対極にあるのです。

①英語は「具体的」

「具体的」の反対が「抽象的」ですが、日本語は抽象的であるばかりでなく、「あいまいさ」が特徴です。これは『あいまいな日本の私』(岩波新書)という大江健三郎さんの著書があるように、善かれ悪しかれ、私たち日本人の思考・表現形式の何より大きな特徴で、日本固有の言語・文化の根幹といっても過言ではありません。日本語と英語を使い分けるうえで、嫌でもでも意識せざるをえないことです。

かつて私が駆け出しの通訳だったころ、詳細はおぼえていませんが、「地形」という言葉が出てきたことがありました。私はtopographyという言葉を知っていたので、しめたと思って得意になって使いました。

すると、それを聞いた相手の人はtopographyをrivers and mountainsと言い換えて話しているではありませんか。そういえば日本語でも「山川」と言います。なるほど、これが英語の感覚かと、妙に納得した気持ちになったものです。